【第4章】実写とのマッチング

  1.実写撮影時のTips   
   合成画面で必要なデータ カメラレンズサイズ、カメラの角度 光の方向、角度(露出)など。
   でも実際現場でなかなかそんなヒマは無いと思う。
   どうしても細かい合成をするときには、良い条件を記録した方が後々楽でしょう。
   晴天の昼間、順光なら合成しやすいです。(要するに露出のオーバー部分をなくすこと)


  2.合成画面の作り方
   フツウまあ、 どうしてもバレます。要するに質感がちがうのです。その場合手っ取り早いのが、
   編集時に画面全体に薄いフィルターをかけるなどして色を合わせてしまうこと。
   あと影を合わせること。人間の目は騙しやすい半面、騙されにくい。すぐに信じたがるが、
   直感的に違いを見出すのです。アイコラを考えればわかるでしょう。
   あくまで基本はモノクロで光の向きの調整作業してそれで違和感無ければ
   それほどはバレないものです。
   逆に、実写の影の部分をクロマで調整して目立たせて影の向きを強調させて、CGとの違和感を減らす。
   とはいっても、 基本はあくまでモンタージュ。CGを苦労して作ったからといって見せびらかされていても
   観客には関係のありません。「Effect is Everything」。あくまでCGは黒子なのです。

    完璧にCGと実写の動きを合わせるマッチムーブのソフトはいろいろあります。予算に余裕のある方はそちら。
   金は無いが時間のある方への地道なアニメーション方法を紹介します。
   スクリーン・プロセスという映画の技法をご存知だろうか。車に背景に実写画面が合成される方法。
   往時の映画でよく見る手法。Blenderではこれができます。
   CGアニメーションと同時に実写画面を動かすことができる。
   それを使って合成を行ってみることにする。
   
   a.作業の流れ
1
動かすCGモデルの背後にカメラに正対させてPlaneを配置する。カメラの画角と合わせる。(画面の大きさはDisplaybutton(F10)で決める)
2
Materialbutton(F5)でAdd New Shadowless
3
Textureで、Image Movie LoadImageでaviムービーを選択
さらに中央部の数値を入れる
Frame Loadしたムービーの全体の長さ
Offset 現在のフレームナンバー
Fie/Ima 1フレームに何フィールドか(通常は2)
StartFr アニメーション開始のフレームナンバー
Len   アニメーションの長さ
4
F12でプレビューする
さらにアニメーションにすると、CGと実写が動いていることがわかる。
より質の高い画面を作るには、背景のビデオを消してCGのみムービーにしてあとで編集ソフトで合成する。
5
実写画面の地面とCG画面の角度を合わせる。
CGモデルが動かないのであれば、適当に大きさをズームで調整すれば良い。
CGモデルが動く場合、カメラのレンズを調整したりしなければならないハズだが、そこは何度もプレビューするしかないだろう。もし、CGモデルが実測されたものなら、実写のなかで大きさのわかる位置と合わせてそれを基準にして大きさを調整する。(例:車の大きさと道路の幅)
6
カメラのレンズ Planeまでの距離 CGモデルの大きさはその都度違う。本当はそこにピントのぼけ具合、被写界深度がかかわってくるのだが、ビデオの場合超望遠でもない限りそれほど関係無い。
7
光(影)の方向、モーションブラー、煙などの効果を多少大げさに使ってみる。

カメラをパンしたり、ズームを使うのもこれの応用。


 3.アニメーションの効果
   これは番外編です。アニメーションをしてみたけれどどうもパッとしない、
   前章で書いたデフォレメはムズカシイ、アニメーションのテクニックがいるし…。
   これは反対のアプローチですが、映画や衝撃映像などから映像を取り出して、上述した合成の背景画面に置く。
  映像の位置と重ねてCGモデルを配置する。ビデオの動きと合わせて一コマずつ動かしアニメーションにする。
  カメラを変えて実写画面に合成すれば、本物のスタントなどの動きを作品にコピーすることにもできるはず。


 4.空気感とボケ具合
   どうしても苦労したCGはきれいに写したいですよね。でも心を鬼にして本物らしくみえるように、
  編集ソフトでピントやフィルターで汚してビデオ画面の背景に溶け込むようにしましょう。


 5.編集ソフトによるゴマカシかた
   動きが遅いと、ギクシャクしてCGがバレバレになる。そんな時は発想を逆転して、
  コマ数を多くしてムービーにして(例:秒60コマとか)編集ソフトで動きを早くして行くと滑らかな動きになる。
  動きが速過ぎるときも、バレバレなスローモーションにしないで、
  80%くらいの一度見た時には分からないくらい遅くすると見やすい。もちろんその時音はスローにしないこと。


  ということでこんなカンジの合成ムービー ができました。(4秒 Mpeg1)







【第5章】自主Vシネ

 1.そこまでいくとあとは財布との相談か?

    さあここまで辿り着きました。この先はCGだけの話ではありません。
   自分が見たい作品を作るためには総合的に何が必要なのでしょうか。

   その前に私の考える自主Vシネの定義は、

    ・CGによるVFXを使うことでスケールはVシネマかそれ以上のものにする。
    ・基本的に全体を自分で質的コントロールできる。
    ・予算によって、想像力や表現の制約を受けない。


    あ、言っておきますが、もちろんCGでやりゃあなんでも出来るというのは間違いです。
   CGが絶対にバレナイ自信があれば別ですけど。
   当たり前ですが、製作の苦労はフツウの実写と同じです。


   さて実際の機材スペックですが、もしかしたら映画より選択が難しいのではないかと思います。
   というのはビデオカメラは自由度が少ない、規格がたくさんありすぎるし、加工の段階でデータ劣化が必ずあり、
   映し出すモニターの基準がバラバラなのです。
   映画ならキャメラは露光、レンズ、シャッタースピードなどが存分に弄れるが、
   ビデオは融通が利かない(アマチュア仕様ということもあるが)。
   映画は35mmが標準だが、ビデオだと30fpsインターレスはたぶんに16mmより劣る画質だ。
   早い話テレビ画面をカメラで撮ったことのある人はわかると思う、あの程度のことなのだ。
   フィルムは現像して、プリントを作るのが作業だが、ビデオの場合なんらかの変換が必要だ。
   その画質の基準をどこに合わせるのかも問題。ビデオはモニターは各社バラバラの色調整。
   どれを基準に色を整えれば良いかわからない。カラーバーとオシロスコープだって?
   それは機械の調整であって、作品の色を最高に持って行くこととはちがう。不利な条件がありすぎる。
   しかしそれでもどこまで、できるかを考えて行きたい。
 

  a.カメラ
    撮影時でクオリティの全体の90%が決まると思うので、良いカメラが使えるに越したことはない。
    予算があれば、Canon XL-1sで こんなこと もできるのだが…。
    PanasonicのDVX2000の24fpsの撮影も魅力だし、Victorのハイビジョン画質も気になる。
    ただ現実的に安く高画質にを考えると、新品なら SONY PDX10 PAL仕様がいいかな(実売26万円程度)。
    PALは25fpsなので3-2プルダウンをするときに損失が少なく済むようです
   (免税コーナーがある大きな電気店なら手に入る)。
    さらに現実的なら中古でSONY VX-1000(10万円程度)かPD-10A。Canon XV-1も考えてもいいかも。
    さらにさらに隠し技だとCanon LX-1。レンズ交換のできるHi-8。ほとんどジャンク扱いだが。ちょっと欲しい。

  b.仕上げ
   この先のビデオキャプチャー、編集、映像加工ソフトについては様々な組み合わせがあるので未知数です。
   上を見たら放送レベルになるんで、廉価でどれくらいのシステムを組めるかということですね。
   ただAfterEffctやPremiereのplun-inをみるとフィルムのシミュレートをするものがあるので、
   最終的に24コマのフィルムに落とすのではない限り、3-2プルダウンをしなくても、30コマのままフィルムの質感が出せるのではと思うのだが。
   これから少しずつ試していくつもりです。
   その度に書き込みを増やして行きます。

  c.上映、配布
   巷でよく見るPVやCMもビデオ撮影で、フィルムルックにしているものがかなりあります。
   テレビで見る分には一応バレないレベルになってきているとは言えるのだが、
   所詮はドラマも無い数分のものだからなんとも言えない。
   水戸黄門もPanasonicの提供なのだから バリカム で撮影すれば宣伝にもなるのにねえ、
   いまのヴィデオ撮りよりは良いと思うよ。

   かと言って劇場で大型プロジェクターで映しても、何分我慢できるものかも不明だ。
   DLP上映で『スター・ウォーズ エピソード2』などを観ても違和感は無いが、それ以上でも以下でもない。
   当たり前だが、現状ではフィルムによる美しさには程遠い。
   なんとかDVDで観る限り、Vシネと対抗できるくらいの画質はクリアしたいものです。(スーパー16に対抗するのか…)
   キレイキレイなものではなくストーリーに説得力を持たせるのに十分な画像と言う意味ですが。

   既にデジタルビデオを35mmキネコにして公開している、
    『チェルシー・ウォール』 (2002年公開済みビデオDVD発売中)という例もある。

   サンダンス映画祭のドキュメンタリー作品はDV撮影、キネコ仕上げも普通になってきているようです。これだと一齣づつ取りこむフィルムレコーディングよりは費用がかからないはず。


  参考

   ヴィデオを映画のように仕上げるには(英語)

   デジタル・映画の技術等の総合情報源(英語)



*この項には結論はありません。これからも少しずつ内容を足していくつもりです。ご意見ご感想があればぜひ聞かせてください。

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