4.音楽にもの申す(What's up MUSIC?)
音楽、CDについて書いたものです。ジャンルに制限はありません。音の出て気持ちの良いものへの濃い雑感です。
日本のビリー・ホリデーという、渋い唄声を持ったジャズ・シンガーのセカンドアルバム。エルトン・ジョンの「YOUR SONG」からビートルズの「CAN'T BUY ME LOVE」やジャズのスタンダード曲と幅広く唄いこなしている。私の好みとしては、本人がピアノも担当している「OVER THE RAINBOW」です。
(角田)
子供の頃、この人のお陰で恐怖のあまり眠れない夜を過ごさせて頂きました。ジャケット担当の日野日出志さん、あんただよ。このCDのイラストも反則だです。動物に見せても逃げ出しそうな絵じゃないですか。
音の内容も期待通りのトラウマ・ポップで、疲れ気味の人にも解りやすいと評判な親切設計なCD。古くは江戸時代のからくり絵にも通じる御気軽な地獄巡りが楽しめます。
怯えながらもゲラゲラ笑いたい方にご推薦申し上げます。戸川 純の「さよならを教えて」、「好き、好き、大好き」、中島みゆきの「うらみます」をガサツな心で好む方には文句なしに大推薦。
アメリカのマリリン・マンソン、KOЯN等による90年代の現実感に溢れた不幸自慢(?)と比べて楽しむのも宜しいのでは。 「♪二人の首に括りつけた、あの世で結ぶ、赤〜い縄、地獄の子守唄〜♪。」
(森山)
映画「スプリガン」の主題歌「チン=リン」で強烈なインパクトを与えた中国出身の女性歌手。時にはエキセントリックに聞こえるコブシと、安定した超高音域(中国のヘヴィ・メタ・バンドのヴォーカルが、また凄い人が多い)、歌った事の無い作曲家がコンピューターでこさえた無茶なコード進行にも楽々ついていく技量は小室哲也の夢から現れたかのよう。やはり、白眉はチン=リンだが、映画「催眠」の主題歌では日本語による歌唱も披露している。結構良い値段を取ってる国内盤の割には情報が少なくて残念。ギャラが安いビョークのような使われ方に、彼女のインパクトが弱くなっていかないよう祈っています。これも文化搾取の一環なのか。当然そうですね。
(森山)
独自の文化を持つバスク地方発、トリキポップ期待の若手女性デュオ、待望のセカンドアルバム。本人達による、トリキティシャ(アコーディオン)とバンデロア(タンバリン)の超絶技巧と、少々ロリが入った親しみやすいヴォーカルの組み合わせが益々好調。よりこなれてきて良い感じ。これはしばらくこの線で行けそうですよ。トリキティシャによる速弾きの合間に入る掛け声が伝統音楽ならではの強力なキメになっていて、大変宜しい。P.A.が無くてもどこでも演奏が出来る強み。飽き易い私も充分満足。この夏、プロモーションで来日していたが、見に行けなくて残念至極。
(森山)
先日ビデオにて「アンダー・グラウンド」を遅れ馳せながら観ました。いや〜、面白かった。自分的には「ムトゥ・踊るマハラジャ」、「フル・モンティ」、「ブルー・ベルベット」と並んで音楽が印象的な映画でした。早速、音楽担当のゴラン・ブレゴヴィッチや、演奏を担った流浪の民ロマ(旧ジプシー)の音楽を幾つか漁ってみました。
1.「ラジオ・パシュカニ」ファンファーレ・チォカーリア。オルター・ポップ。ERPCD-6933
2.「喜びも悲しみも」セゼン・アクス。オルター・ポップ。TKCD-515MSIF3642
3.「ジプシー・マンボ」コチャニ・オーケストラ。ビーンズ・レコード。BNSCD-819
1と2には「アンダー・グラウンド」内で再三演奏されていた「月の光」や「カラシニコフ」が収録されていて、共にすばらしい出来です。1 はルーマニアのジプシー・ブラスバンドで、音楽的にはこちらが映画の雰囲気に近いです。しかし、ニール・セダカの「恋の片道切符」等、他の選曲も芸人魂に溢れて侮れません。それにしても早い!うまい!(そして、多分、ギャラも安いのだろうな)、の吉野家的生命力が素晴らしいです。
2 はトルコの国民的女性歌手が何故かトルコ語の歌詞を付けて吹き込んだ異色作で、収録曲の殆どがブレコヴィッチの作品です。アクスの歌がまた、一筋縄ではいかない生命力があり、曲者度がアップしてます。
3 は、「ジブシーの時」に出演していたバンドです。映画内の曲は演奏してませんが、その力強い演奏はやはり、御見事の一言。
どのCDも元は中近東、特にトルコの影響を強く受けた管楽器の調べが強烈です。元々軍楽が音で敵を萎縮させる「音響兵器」ですから、さもありなん。筆者もトルコ音楽の原初体験は、モーツアルトの「トルコ行進曲(またはびっくりマーチ)」や、ずばりトルコの軍楽「ジェッディン・デデン(NHKドラマ「阿修羅の如く」または、バラエティー「なるほどザ・ワールド」に使用されていた)」でした。特に後者は2分半ほどの短い曲ながら、忘れられない方も多いと思います。これも現在キングレコードのエスニック・サウンド・シリーズで手に入るはずです。小泉文夫さん編纂によるこの手のシリーズの古典です。もちろん大傑作。
ゴラン・ブレゴヴィッチは元々ロック・バンドに所属しており、十数枚レコードを出していたとの事。旧ユーゴのロック・バンドがこれまた変拍子を極めたり、民族主義を打ち出した危ないバンドが有ったりで面白いのですが(ライバッハというバンドが英国のミュートと契約していたため、比較的手に入りやすかったです)、たまにCDが一〜二枚入ってくる程度で情報が少ないです。どなたか情報があったら教えて下さい。
この辺りは政治、宗教、民族主義が渾然一体となっており、こう一括りで紹介したら刺されるかもしれないのですが、音楽は皆大変魅力的です。
(森山)
ボクは比較的飽きっぽいので、あまり熱心に一枚のCDを聴くこともしないし、特定のアーチストのCDを集めるということも少ないのだが、このマーク・アーモンドだけは別格だ。80年代前半当時、雑誌「アラン」(のちの月光通信)を愛読する女の子にソフト・セルを勧められて以来、ほとんどのCDを購入しているので、かれこれ15年以上愛聴し続けていることになる。
さて、前作「ファンタスティック・スター」以来3年ぶりのアルバムはどうかというと、多彩なサウンド・アプローチ(トリップ・ポップやドラムン・ベースなど)と耽美なメロディにネットリ絡み付くドラマティックなボーカルは本作でも健在で、スージー・スーとのデュエットも収録されていて、従来からのファンにとっても、かなり満足のいく充実した出来だと思う。…が、個人的には今回のアルバムは「暗すぎ」だと思う。天才マークには暗ーい耽美だけではなく、時代を超越する「爆発力」や「破壊力」を期待するので、今回は大人し過ぎ。やはりヒットチャートを荒らしてくれないとね。
(船越)
日本テレビ系で毎週水曜日に放送中のドラマ「ラビリンス」のサントラ版。ドラマは「白い巨塔」プラス「愛憎劇」といった内容みたいですが、一回しか放送観た事ないので、正確な内容は、よく判りません。それでも、最近この手のドラマには常連の渡部篤郎と内藤剛志の競演はなかなか見応えがありました。
さて、このサントラ、ドラマの音源というよりは、このところ流行のピアソラ・トリビュートアルバムといった趣です。ドラマの主題歌(槇原敬之「Hungry Spider」)すら入っていない徹底ぶり(?)です。実は単なる所属レコード会社の事情かも知れないけれども。
「ヨーヨー・マ」が売れまくったソニーレコードとしては「柳の下にドジョウは3匹」作戦といったところでしょうか?小松亮太のファンや「ヨーヨー・マ・プレイズ・ピアソラ」を買った人は買わずにはいられないでしょう。演奏は小松亮太(バンドネオン)、オーケストラ・アレンジが上野耕路です。「ブエノスアイレスの夏」(オーケストラ・ヴァージョン)が出色の出来です。
(船越)
去年「baby baby,Service」でデビューした大阪出身のシンガー・ソング・ライターの1stアルバム。シングル3曲+「たそがれマイ・ラブ」のカバー付、全13曲+ボーナストラック1曲のお買得盤。
最初聞き始めたときは、歌はうまいが、特徴の少ないMISIA、もしくは年食った宇多田ヒカルといった印象しか持てなかったが、繰り返し聞いているうちにハマってしまった。はっきり原因は判らないが、どうも中毒症状を起こすCDのようだ。個人的には最新シングルでもある「45℃」が、タイトルも意味深でエッチだし、楽曲も昔のAMAZONSみたいなので好きだ。
楽曲は打ちこみ中心のクラブ系、歌詞は沢知恵にも通じる情熱官能系なので、同世代(25歳前後)の女性にはウケかもしれない。それにしても眉毛薄いです。ジャケ写真から判断するしかないが、ひょっとして全部抜いて書いているのか。女のヒトは色々大変だな。
(船越)
同名映画のサントラです。映画は下ネタ、ブラック・ジョークのオンパレードですが(詳細は映画のコーナー参照)、CDの方はよれたポップスに並ならぬ愛情を込めた佳作です。
007シリーズの主題歌で有名なシャーリー・バッシーとプロペラヘッズの競演(!)から、ミュージカル仕立てが楽しいエンド・タイトルに流れた懐かしいファウンデーションズの「ビルド・ミー・バター・カップ」まで米国は西海岸からイギリスを中心とした選曲が多いに楽しめます。
特に映画に語り部としても出演しているジョナサン・リッチマンのトボけた芸風は、是非ご賞味あれ。歌手が映画出演する時の一種、理想系です。
但し、問題のシーンに流れたカーペンターズの「遥かなる影」は未収録です。当然か。
(森山)
レコード屋で聴いて購入。沖縄生れ、武蔵野美大ラテン音楽サークル出身の27歳。
フュージュン系 70年代サウンドをバックに、実に自然体で歌われる大人のポップス。今時珍しいくらい人力で録音している感じが新鮮。
シングルカットされた大曲、「メビウス」がハイライト。この手の流麗なストリング・アレンジの曲が、時々無性に聴きたくなるのですね。全体でも捨て曲少なし。比屋定嬢(言いにくいね)の歌い方はほんわかしていて、和みます。
(森山)
寺山修司作品の音楽担当で有名なJ.A.シーザーによるアニメのサントラの形を借りたオリジナル合唱曲集。98年発表。半数以上は既に主催の劇団「万有引力」の戯曲で使用された物らしい。ちなみにブックレットも半分以上は劇団の説明である。
彼らのコーラスが醸し出す平板で青臭い感覚。28年前の天井桟敷と見事なまでに変っていない。小賢しい人なら、最近大型劇場アニメの主題歌に良く有る非ベルカント唱法でド派手に攻めるだろうが(例;「甲殻機動隊」、「スプリガン」)。ある意味あっぱれである。千葉ロッテ監督復帰の金やん、娑婆に出てきた奥崎謙三のような前時代的な雄々しさが有る。私は「幻の名盤開放同盟」的スタンスで充分楽しませてもらった。
寺山ファン、アニメファンのみならずフランスのメタ・ミュージック・バンド「マグマ」や、演劇的なプログレッシヴ・バンドが好きな方も是非御一聴を。
それにしてもこんな無茶な企画を通した会社は偉いと言うべきか。あえてアナクロニズムで現代に挑む怪作。ところで本編はどんなアニメなんでしょうね。
(森山)
「MAGIC BOX」BEL CANTO.Lava Records.7567-92699-2.
ノルウェー出身のグループ。名はベルカントながら、唱法はさに有らず。北欧系のコブシを聴かせたまあ、本来の意味で「美しい声」と言える。ベルギーのクラムド・ディスク時代に聴いていたが、レーベルを移っていたとは。北海のオーロラを思わせる幻想的な美しさと少々の野趣が吉。私はこの手のマイナー旋律に弱い。
「Tradiional lullabies」 Savina Yannatou(サヴィーナ ヤナトゥ).Musurgia GRAECAML3396
ギリシャの伝統的な子守り歌。日本で言うと「五木の子守歌(♪おどまぼんぎーりぼんぎり)」風のマイナー旋律の子守歌。深いアルト。私はこの手の声にやはり弱いのよ。1歳6ヶ月の甥に聴かせたが、眠らないで私のCD棚から原 辰則の「サムシング」を叩き落とした。なぜだ。
「SWADDLING SONGS(抱擁の歌)」MELLOW CANDLE. DERAM ポリドール POCD-1903
失敗したブリティッシュ・フォークのグループで、なぜかプログレッシブ・ロックファンの間ではカルトな人気が有る。アイルランド出身の若々しくバカテクのツイン女性ヴォーカルが魅力のグループ。彼女らは女子校でシュープリームスを目指して練習をしていたそうだが(解説書より)、その片鱗すら見れない変拍子ビシバシの竹を木に継いだような違和感が堪らない怪作。とても格好が良いが、やはり、万人には受け入れ難かった。
(森山)
ブラジルの女性歌手。プレイ・ボンゴ・レーベルのサンプラーを聴いて引かれたので購入。素晴らしい物である。間違いない。言葉がない。美しい鳥の声と同じ位素晴らしい。なんでこんなに力まずに流れるように歌えるのだろうか。日常生活もきっと美しい声で話しているのだろうなあ。オーマガトキのCDはいままでなぜか買ったもの全部、はずれがない。なんでこういう物が何百万枚も売れないのかなあ。
(森山)
「みんなのうた」は昔から良かったのですが、最近特に良いですよ。去年流れていた「白いスピッツ」は大傑作でした。なんか泣けます。いま、CMやタイアップ(広義ではNHKとアーチストのタイアップになるでしょうが、そこはパス)以外で、期間限定とはいえ、同じ時間に同じ曲が流れる番組って他に有るでしょうか。あ、子供番組には多いですか。
ポンキッキーズも良いですね。豪華メンバーが目白押しです。が〜しかし!TV上の放映だけが条件なのか、オリジナルの多くがCD、テープ化されていません。矢野顕子の幼児体験フラッシュバック&涙腺爆発ソング「わたしのにゃんこ」や、シブがき隊のベストソング「スシ喰いねェ!」はなんとかCD化され手に入るようになりましたが。みなさん、北島三郎歌唱の「北風小僧の寒太郎」とか、もう一度聴きたいと思いませんか?。10枚組BOXセットでも買いますよ私は。ちあきなおみの「さとうきび畑」も聴きたいなあ。
あと、ポンキッキーズ関連でも未CD化の名曲がたくさんたくさんあまっているはずだ。いや、はずです。教育の名を借りたホラー・ソング「たべちゃうぞ」とか、曲名は思い出せませんが、ポンキッキ版「ロスト・イン・スペース」とでもいうべき、子供たちが宇宙船で飛び出してしまって…とか、たくさん、有るでしょう。皆さん。ああ、思い出したら聴きたくて堪らなくなってきました。20枚組みBOXセットが出たら女房を質に入れてでも買いますよ。
(森山)
オルター・ポップの『バスク音楽万華鏡』シリーズを購入し、付属アンケートに回答した所、サンプラーCDを頂きました。なんと先着千名まで応募者全員にもれなく送っているとの事。(株)メタ カンパニーの担当海老原様、太っ腹。エシュカリカシュコ(有り難う御座います)。この手の幸福は1989年に映画の券(今は無き大井武蔵野館上映の「攻撃(ロバート・アルドリッチ)」ニュー・プリント!)が当たって以来です。
第一期シリーズ6作品全てからバランス良くピック・アップされており、オリジナルアルバムを購入したくなること請け合いです。ワールド・ミュージックやガール・ポップス、変拍子が好きな方、御急ぎを。
参考;『バスク音楽万華鏡』シリーズ(今の所第一期)。
1.「てんとう虫」マイシャ・タ・イシャール。ERPCD-6908→ガール・ポップ。可愛い。
2.「四つの手で」ジュリオ・ペレイラ&ケパ・フンケラ。ERPCD-6909→超絶アコーディオン奏者+マルチ弦楽器奏者。
3.「アライツ・エタ・マイデル」Same。ERPCD-6910→ガール・ポップ。可愛い。
4.「レオネン・クラック」イボン・コテロン&ケパ・フンケラ。ERPCD-6911→本コーナーでピック・アップ。大気をつんざく角笛+超絶アコーディオン。
5.「25」オシュコリ。ERPCD-4912(2枚組)→バスク・フォークの大御所。25周年ライブ。
6.「波から波へ」マイシャ・タ・イシャール。ERPCD-6913→実はこちらがファースト。キュートかつアコーディオン(トリキティシャ)、上手い。
(森山)
掲示板にヴァニラ・レコード主催者の、てんまさんから書き込みを頂きました。おおきに。感激です。
思えば7〜8年前、当時すでに老けたノイズ初心者であった私は、コントロールド・ブリーディングはエレクトリック・ボディ・ミュージック・バンドだと思い込んでいたのですが、彼らは多彩な芸風を持つユニットである事を本CDの御陰で知る事が出来ました。ベスト盤的内容で、激しいギターノイズを中心に、ロバート・フリップのフリッパートロニクスを彷彿とさせる曲や、エレポップ風まで、バラエティに富んだ一枚でした。彼らの特色は、一度他分野に行きながら、ノイズに戻ってきた事でしょう。個人的には彼らのボディ系よりノイズの方が好きです。
背表紙が当時のワーナーブラザーズの再発名盤シリーズ(レッド・ツェッペリンや、ディープ・パープル、フォリナー、リトル・フィート)そっくりのデザインで紛らわしく、曲数も実トラックと表記が合わず、収録曲も本当にライブかどうかも判ったもんではない等、数々の仕掛けられた悪意が戦略的でした。しかし、肝心の音は激烈かつポップで大変格好良いですよ。詳細はHPまで。
コントロールド・ブリーディングは、最近日本盤も出たキング・クリムゾンのトリビュート盤「Schizoid Dimension」にも参加していますので、プログレ・ファンの方も聴いてみては如何ですか。活動歴が長い割りには情報が少ないので、どなたか彼らの事を御教示下さい。
(森山)
シネイド・オコーナーがゲスト参加しているので購入。極めて視覚的な音楽。名前の通り、やや暗めでゴシック調。シネイドは余り目立たないが(というか、最近の彼女の使われ方は、類型化していてヤバイ)、全体的には善戦している。耽美系ヒーリング。一昔前の4ADが御好きな方には推薦。
(森山)
義兄のアメリカ土産。例によって「変ったCD下さい。」と言って店員に選んで貰ったとの事。感謝。この夫婦は海外旅行の度にCDやテープを買ってきてくれる奇特な人たちだ (円環構造のバリ等土産コンテンポラリー・ガムランは最高だった)。まったく予備知識を持たずに音楽を聴くのは、活字で読んでからCDの購入を思い立つ事の多い私には新鮮な経験(邪道だね)。
内容はなんとなくエコロジーの香りが気になるものの(関係ないけど、あのラッセンの絵、何とか成りませんかね)、リーナ・ラヴィッチやメレディス・モンクを大人しくしたようなヴォイスは結構気に入った。「イエレレ・ヴォイス」とでも言うのかな。ジャケットのドローイングも全てPINON自身との事。「動物の真似も全部私達がやりました。」というクレジットも微笑ましい。4年前のCDだが、果たして日本でも売っているのであろうか。今度調査します。
(森山)
(森山)
で、上記書籍の影響で購入。掲載の遺作ではなく、ファースト・アルバムである。レナード・コーエンのカバー、「ハレルヤ」収録にひかれる。U2のボノや、ジョン・ケイルも歌ってましたね。「神の宿る声」とのコピーだが、確かに一歩間違えば病的なほど繊細。凄いのだが好みが別れる声である。オリジナル以外のどんな分野の曲も見事な解釈で歌えるとの事。本作のコーエン以外でもエディット・ピアフ、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン、ジェネシス、ヴァン・モリソン、ベンジャミン・ブリテンを歌っていたそうだ。是非聴いてみたい。
(森山)
実は私は80年代末から90年初頭に掛けて、ピクシーズが大好きだった。「DEBASER」なぞカラオケに有ったら歌いたいくらいだ。でも日本では全然人気がなかった。なぜなら、メン・アット・ワークやデイブ・マシューズ・バンドと一緒で、見目麗しい人が一人も居なかったからだ。解散後もリーダーのブラック・フランシス改めフランク・ブラックを追いかけていたのだが、年を経る毎に国内盤が出るのがどうも遅れたり、今回みたいに本国ではメジャーから配給を打ち切られてインディーズから出たり等、徐々に尻つぼみの雰囲気で気が気ではない。
今回のアルバムはなるほど、メジャーから契約を打ち切られるのも無理からぬノー・ギミック、ノー・ダビングのほとんどスタジオライブ。編成的にはなんの変哲もない4ピースのバンドなのであるが、収録曲をずっと聴いていると、呪術的空間に誘われるようなむき出しの音塊だ。まるで原始人のロックである。うぱー。でも、これは売れんな。いいのだが。益々他と混ぜて聴けなくなってきた。案外ヴェルヴェッツやジャーマン・ロック,PILファンには波長が合うかもしれない。
(森山)
単純なアニメソング集かと思っていいたら、大間違い。非常にレアな、TVでは流れなかった販促品レコードや、赤塚不二夫自身が製作、演奏、歌に関わっていた曲を中心とした発掘物であった。ハトヤホテルに措ける「赤塚不二夫と下落合テンタクルズ」のライブなぞ、長谷邦夫の本などでフジオ・プロ周辺の乱痴気騒ぎに興味を持たれた方には文字どおり一聴の価値がある。録音データも可能な限り詳細に付いており、この手のコレクターには堪らない一枚だろう。それ以外でも白木みのるが歌手としてユッスー・ンドゥールにも負けない(?)見事なテナーである事に驚かせされる「ダメおやじ」「銭$ソング」(イメージソング)を初め、南伸介とてんぷくトリオや、タモリ、小林亜星、高平哲郎、赤瀬川原平等豪華ゲストが結集している。さすがに山下洋輔は直接には関与していないようだ。
個人的には、テレビで流れた挿入歌、主題曲をもっと聴きたかったが、これはちゃんと調べないで買ったこっちが悪い。でも、最後に「元祖天才バカボンの春」(名曲。TV盤のエンディングテーマ。)が聴けたので善しとするか。EXTRA DATAとして、Vapの詳細な情報が集録されていて御得な雰囲気。
このレーベルのミュージック・ファイルシリーズは、前から気に入っていた。だから、子連れ狼の劇中歌で、公儀御毒味役の阿部頼母が毒を調合しながら楽しげに歌う「毒屋の息子の子守り歌(こんな題名すらないのかもしれない)」を是非CD化しておくれ。いや、して下さい。お願いします。和歌山カレー事件の報道を聴く度にこの歌がフラッシュ・バックして困ってます。
なんか話しがずれたので、この項終わりです。
(森山)
赤塚不二夫の次は手塚治虫。こちらはトリビュート盤。ここ数年、日本人アーチスト主導で作られたこの手のCDでは出色の出来。参加アーチストが豪華なだけではなく、気合が入り方が違う。主題歌のカバーと、オリジナル曲が絶妙にミックスされていて(中には細野晴臣のように、記憶だけを頼りに「鉄腕アトム」の主題を発展させていたら、何時の間にかオリジナルになってしまっていた物まで)明らかに意識されているハル・ウィナー・プロデュースの域にちょっと迫っているかも。果たして世界に通じるかな。
しかし、手塚作品ではないが、日本アニメの主題歌は「マッハGO−GO!」が「SPEED RACER」として、米国の子供達にも充分格好良い曲として受け入れられていたらしい。米国産の子供番組主題歌カバー集「Saturday Morinig(MCAD-11348.確か日本盤も出ていた)」でその背景は知る事が出来た。ゆえに本アルバムも可能性は大いに有るのではないか。世界の富田 勲やチボ・マット、少年ナイフ、野宮真貴、ボアダムズ、ショーン・レノンも参加しているし。
手塚治虫が自分の作品の音楽にも決定権が有ったかどうかは知らないが(可能性は充分に有る)、みな、ミュージカル仕立てで、合唱が入って、絢爛豪華だなあ。やはり、元はハリウッドや、ディズニーなのだろうな(ちょっと宝塚もね)。
虫プロ倒産直前のTVアニメ「ワンサ君」は、全編ミュージカル仕立ての怪作だったが。名前からワンサ君をイメージ・キャラクターに使用していた三和銀行は虫プロが倒産して慌てただろうなぁ。
この項(も)収拾が付かないので終わり。
(森山)
サラ・マクラクラン主催の「女性アーチスト」中心の音楽フェスティバル、抜粋ライヴ。このフェスティバルの素晴らしさ、成功は多くのメディアで取り上げられていているが、成る程、オルダネイディヴ系の女性アーチストのサンプラーとしても大変優秀。二枚で一枚分の御値段も良心的で、遅れ馳せながら堪能を報告する次第。こりゃ御買い得です。
(森山)
中国の新進気鋭バンド。他国民におもねる偽りの異国情緒や、逆に自国の伝統を否定し無理に外国の物を取り入れていた過渡期を経て、自国ロック、ポップスの確立を勝ち得たかのような、おおらかなスケールと自信を感じさせる音楽。歌も演奏も余りにも自然。なんか、気分が良くなりますよ。大陸の大平原に大の字、って感じかな(寒〜)。
中国のロック・ポップアーチストは国立の音楽院で、みっちり伝統音楽の教育を受けている人が多く、演奏や理論のスキルは大変高度。個人的にはずっと中国産アヴァン・ポップを聴きたいと思っていたので、本グループの登場は嬉しかった。
(森山)
クレジットに有った久保田早紀「異邦人」のカバーに釣られて購入。でもそれが一番出来の悪いトラックだった。私はサントリー烏龍茶のCMソングの方がすきだな。艾敬は歌詞で勝負するタイプなので損しているな。「私の1997」で、森山も解かっていたはずなのに、文句言って未練がましいね。すいません。
(森山)
というわけで、最近の失敗談。誕生日がらみのプレゼントで「質より量」を希望。アーチストや作品を指定せずに、バーゲン品の中から変なジャケのヤツを見繕ってたくさん買ってもらった。やはり寒い。マイナス40℃の寒波級だ(でもベルベット・モンキーズの「RAKE」は良かったぞ)。
おいおい、自分はそんな事を粋に出来るほどいろんな物を聞き込んでいる訳ではないではないか。一つ初心に戻って、良い音楽を聴こうではないですか。ねえ、館主!。
(森山)
でもって、ジョージ・マイケルを持ってきた(笑)。
良いぞ。クイーンの「愛にすべてを」を最後に熱唱しているが、不気味なほどフレディに似ている。さすが、無名時代から地下鉄で歌いこんでいただけはある。生前のフレディでもライブではこんなに上手く歌えなかったのではあるまいか。この曲以外でも名曲が目白押し。やはり歌の上手い人は良い。作曲家としてももっと評価されるべき。
(森山)
なんと言っても一曲目の「不景気」です。なるほど時代は野宮真貴や小西康陽でも街中で感じる程不景気なのですねぇ。でもこの時代にこれだけユーモアと優雅さを持ってずばり「不景気」を歌える人達が他にいましょうか。いないです。本物の洒落者です。ハンス・アイスラーの「自殺について」と同じ絶望的な世相を切る歌なのですが、まるっきり逆の方法論です。アイスラーも素晴らしいのですが、聴いていると本当に死にたくなってしまうので困ります。
月並みではありますが暗い世相は明るい歌で乗り切りましょう。わざとらしい励ましの言葉など無いのに、何時の間にか元気が出ます。細川俊之の洒落たナレーション入りです。
(森山)
(森山)
ヴァージンのコンピレーションに文句を言っていたら、このCDを紹介された。David Toopにより「水」をテーマに編まれた作品で、もちろんヴァージンレコードから。
昔、漫画家「諸星大二郎」の作品で、一組の男女が常世とあの世の狭間で、淡々と語り合いながら海中を漂っていく話があったが、このCDには、そのような夢うつつな状態で世界の海、川、雨模様巡りをしている感覚を絶妙に作り出している。 血は水より濃いとは言うが(?)、このアンソロジーの参加メンバーは濃い。通常の音楽ジャンルからすると目茶苦茶である。ドビュッシー、サン・ラー、ジョン・ケージ、オーネット・コールマン、ハービー・ハンコック、レス・バクスター、エリック・サティ、イーノ、マイ・ブラディ・バレンタイン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、パフ・ダディー、ジョン・ゾーン、ビーチ・ボーイズ、マイルス・デイヴィス、エイフェックス・ツイン…。それでいながら、編集者のツボを獲た感性によって全体の統一性が見事にとられている。 とても聴き易い。極めてハードな音楽も夕立だと思えばスリリングで初心者でも楽しめるのだ。
聞き覚えのある曲でも選曲の妙で脳に利くツボが違ってくるの。脱帽である。この見事なアンソロジ^-を聴くと、確かに選曲者の才能、権利を認める必要を感じる。滅多に無い事では有るが。
長年捜していたex.CANのホルガー・シューカイとロルフ・ダマーズによる「ボート・ウーマン・ソング」が入っていてびっくり(ベトナムの舟唄にテープ編集を加えたもの)。もう30年昔の作品で、音は悪いが手法とセンスは今日聴いても古びていない。さすがである。
私は英国盤(しかも再プレスらしい)を手に入れた訳だが、日本盤が出ていて見逃していたとしたら、大変失礼致しました。捜してみます。もし出てなかったら、なんで出さなかったのだろう?。まったくもって不思議である。
ピクチャーCDの雨傘がたくさん開いているデザインも良いです。
(森山)
「ジャパニーズ・ポップスに挑戦シリーズ.1.」
「LIKE OR LOVE.」by SAY A LITTLE PRAYER.おそらく歌い手さんには自分の音域をフルに使った曲を歌ってみたくなる事が多いのだろう。 自身高音域を得意とするЯ.K.こと河村隆一からSAY A(略称はこうだそうだ)に与えられたこの曲も低音域からサビの高音域へ飛ぶ所が聴かせ所。マライヤ・キャリーを音域からスペース・マウンテンに例えるなら、SAY Aは浅草花屋敷のジェット・コースターか。もちろん毎日付合うのなら花屋敷でも充分楽しいのである。 ちょっと苦しげな切ない歌を、控えめで流麗な音色のエレキ・ギターとシークエンサーリズム、ストリングスが的確に盛り上げており、かなり良い。それと、やはり素の声の良さでしょう。Я.K.の狙いが正統派歌謡曲なら、侮り難し。応援せねば。
彼女たちはTVKのバラエティー番組でPUFFYの後任をしているそうだ。演奏シーンや立ち姿は未見だが、果たしてメンバーが楽器(特に前述のギター)を弾いているのかどうか、今後の楽しみにしたい。
(森山)
「まともなロックに挑戦シリーズ.その1.」
「Bitter Sweet Symphony」 by Verve(アルバム「Urban Hyumns」の一曲目).たしか中島らもの「明るい悩み相談室」に寄せられた相談に「ふとしたきっかけで、頭の中に特定のメロディーが浮かぶとそれがその日のテーマ曲となってしまい、自力ではリセットできなくて困る。」と言う物が有った。
この曲にはまさにそういう経験をさせられた。バックの単純極まりないストリングスが頭にこびり付いて離れない。最初に聴いたのは仕事先で、コンピューターソフトメーカーの人がプレゼンテーション用のオープニングにこのリフを使用していた(「本当はいけないんですがね。なぜか入れてしまったのですよ。」との談話)。二度目はやはり会社で、パートの音響さんが機材テスト用に流していた(「この単純さが堪らないんですよ」との談)。
もういけません。なぜか気が付くと魔性のリフが蟲惑的に頭の中で鳴っているのだ。助けてくれ。いまにこの音楽を鳴らしながら空から巨大円盤でも降りてくるのではないか?その時人類は何の抵抗も出来ずに彼らの前に屈するのか?。
失礼しました。でも三才の甥が好きで一日中掛けている為、「ペプシマンのテーマ..」が刷り込まれてしまった私の妹よりはマシか、と自分を慰める毎日である。是非皆さんも聴いてヴァーヴの軍門に下ろう。
(森山)
「まともなロックに挑戦シリーズ.その2.」
「THE THREE E.P.’S.」 THE BETA BAND.Parlolphone 東芝EMI TOCP-50655
英国期待の新進ロックバンド。平均年齢25歳に似合わぬ骨太なオジン臭さはまだロックが若かった頃を思い出させる。古いのでも新しいのでも無く、時代を乗り越えた明るい異端性が魅力。居間の柱に図鑑に載ってないようなキノコ(でも食べられる)が生えてきた感じ。ジャーマンプログレバンド、「ファウスト」のセカンド当たりを思い出した。面白い。
(森山)
「HURRY GO ROUND.」 by hide with Spread Beaver.
前記のヴァーヴと同じくバックのストリングスが印象的なシングル。明るく、軽いノリと「春に会いましょう。」の歌詞がリーダーhideの不在を意識すると相当不気味である。 かと言って、クイーンの様にド派手でアクの強い芸人根性が魅力であったフレディ・マーキュリーを死後、悲劇の象徴としてメソメソと扱うのも気にくわないが。 ミュージシャンの死後、残った曲を元にグループを存続させるのは厳格な在庫管理とアウトテイクやリハーサルをオリジナルに負けないくらい再編出来る優秀なプロデュース能力が必要なんだろうな。
でもそれが上手く行けばスプレッド・ビーバー(それにしても凄い名前だ「観音様御開帳」とでも訳すのか?)もhideが取れてパーマネントなグループとして存続していけるだろう。残されたメンバーは大変な選択をした訳で、難しいだろうけど頑張ってほしい。
(森山)
「モルダー・アンド・スカリー・EP.」 CATATONIA.BLANCO Y NEGRO,ワーナー,WPCR-2083
TVや映画のタイアップとは関係なく、メンバーが単にファンだからこういう曲名になったそうだ。でも便乗商法が功を奏して(?)イギリスでは大ヒット。良かったね。
ウェールズ出身の五人組。要は強さと愛らしさを重ね持つヴォーカルのセリーズ嬢。その強靭な喉から良く比較されるビョークが最近やや近寄りがたいのに比べると、気さくな雰囲気とタイトなロック・サウンドで英チャートの常連になったのも納得。10曲入り\1,500−に頬も緩む御得なEP。
(森山)
最近ヒット曲のコンピレーションの代替えとして米映画のサントラを買う事が多い。
ケーブル・ガイもゴジラもスポーンも映画は観てないのにCDだけ持っている。私は映画の終わりで流れる安易なタイアップ曲を聴くのがあまり好きではない。でもヒット曲は好きなのでこんな変な買い方になるのだろう。この手のサントラばかり聴いていると、最近のハリウッド映画の音楽は主題歌、挿入歌ばっかりで、あとはせいぜいメインテーマ位でお茶を濁し、BGMが入ってないのかと勘ぐりたくなる。ゴジラはそれでも何曲かそれらしいのが入っていたけれども。サントラでは無く、イメージ・アルバムと思えば納得か。
さて、本CDは輸入盤で購入したので詳細は解らないが(脚本家クリスカーターによる謎めいた謝辞が載っているだけ。やはり日本盤が出るのを待てば良かった。きっと悔しくて日本盤も買ってしまうのだろうな。うう。)、おそらく半分はこのCDでしか聴けない新曲やアレンジであろう。私の主目的は、マイク・オールドフィールドによる「チューブラー・ベルズ」と「X−ファイルズのテーマ」の合体曲「チューブラーX.」である(笑)。
これが「ゴジラのテーマと合体すればチュブラジラXかよ!」と突っ込みたくなる想像通りの下らなさで、本業での最新作「チューブラーベルズ」のマンネリ気味も思い出して、オールドフィールドの今後をシャレで愁う。「美しい音楽のつもりで創った『チューブラーベルズ』が『エクソシスト』で使われた御陰で、金は得たが、皆にこの曲を怖い曲だと思われて悲しい。」と昔は話していたような気がするのだが。
それ以外ではキュアーとサラ・マクラクラン、カーディガンズ、フー・ファイターズあたりも聴いてみたかったので。ビョークやスティング、オアシスのノエル・ギャラガーも参加しているし。全体的にはいつも通りの腹八分目、可も無く不可も無い出来。
それにしても本編ではどんなBGMが流れていたのであろうか。それとも全編「X−ファイルズのテーマ」で切り抜けたのか。どうでした、館主?。
(追記;ちゃんと「X-FILES:スコア編」が出てました。調査不足ですいません。私が購入したのは、本当にイメージアルバムと言って良い内容の物でした。ちゃんと調査しないと駄目ですね。)
(森山)
エッチじゃなければ歌謡アイドルとは言えない、とボクは常々思っているのだが、メジャー系歌謡アイドルの代表が「あー」を連発する「モーニング娘。」であるとするなら、「舌足らず不可思議少女」小島麻由美はマイナー系歌謡アイドルの代表であることに疑いは無い。
「モーニング娘。」の場合、衣装や例の「あー」がエッチなのだが、「小島麻由美」の場合、楽器(ウッド・ベースやフルート)とヴォーカルの絡みがめちゃくちゃエッチなのである。ま、歌詞もチョット狂ってるけど…
1998年6月リリースの3rdアルバムのタイトルが「さよならセシル」だったので「セシル=少女性」とはついに訣別か、とも思われたが、今回のマキシシングルでも小島節は健在なので、次回のアルバムも期待できるだろう。
全4曲入りで新曲は前半の2曲。小島本人による全作詞・作曲・編曲・ジャケットイラストはいつもの通り。レトロな曲調で舌足らずの割には「意外に」獰猛なヴォーカルであることを再認識させられた後半2曲はNHKでのライブ録音。
(船越)
音楽には「聞いていて気持ち良い」音楽と「聞いていて胸が締め付けられる」音楽があると思うのだが、1980年のショパン・コンクールで物議を醸し出した1958年生まれの天才ピアニスト・イーヴォ・ポゴレリチの演奏も明らかに後者である。
久々にショパンに戻った本作も独特な「ジェット・コースター」的演奏(極端なテンポの緩急等)は健在で、とても刺激的な出来で心臓に良くない。またしても物議を醸すこと必至の衝撃作である。
現代音楽やオルタネイティヴ系(特にノイズ系)が好きな、音楽にも刺激を求めるヒトには特にオススメ。
(船越)
ラテン音楽コーナーをさまよっていたら、推薦盤として挙げられていたCD。
日本の腕利きラテン・バンド。最初、ヴォーカルやブラスがださく感じられたが、南米のバンドとは明らか違う日本独特のノリを出しており、この感じを向こうの人に出せるかと言えば解らない。
ともかく2トラック目の「ダバダ〜(誰もが知っているが、曲名を言えないアレです)。」をラテン・アレンジした曲がお気に入り。インチキ臭さを逆手に取ったユーモアセンスに好感が持てる。無責任な事を言わせて頂けばこのシリーズを追究してくれると個人的には嬉しいです。
(森山)
「闇鍋ジャケ買いシリーズ。」
このCDはワールド・ミュージックの「インド・ネパール」コーナーに有った。一目でキワモノとわかる何とも毒々しい色使いのジャケットではシバ神であろうか4本の腕を持ったゆたかな黒髪の神様が敵または悪魔または不信心者だかの生首をネックレスにし、桃色の剣や、フライングV、ドラムマシーンを掲げ、舌ベロを出し、遠くを眺めるつぶらな瞳、と誠に写真を御見せ出来ないのが残念な押しの強さで紫と緑色の燐光を妖しく放って物好きな客を待っている風情だったのだが、見事に罠にはまって買ってしまった次第。どれも元ネタは図式化された宗教画や古典であろう。日本で言えば丸尾末広のイラストかな。本体も白猿ハヌマーンをモチーフにしたピクチャーCDで、CDを外した後も拝金教の御本尊みたいな象頭人体のガネシア神が。ともかくアートワークは一見の価値あり。
内容は、打ち込みを中心としたトランスミュージックで、全体をお香が焚き込まれた様な曖昧ないかがわしさが漂っており、絵面に比べて地味なだが、じっと聴いていると結構はまる。タブラーの音はドラムン・ベース向けであるし。
それにしても肉感的な神様だなあ。太れる事が貴重で高貴に思われる国なのであろうか。
(森山)
イギリスのラテン・ミュージックを主力としているレーベル。10周年記念のサンプラーCD。
未経験のレーベルかつあまり馴染みの無い分野の編集盤を聴く時には期待と不安共に有りなのだが、美しい正統派のラテンミュージックから、他分野との境界線に有るエキサイティングな音楽(これが私の狙い目)まで収録されており期待通りの内容。ラテン・リズムのオケを捜しているかたにも御薦めのトラック有り。
「ドリス.」というコブシを利かせたスウェーデン出身歌手が収録されており、解説にも記載されていたが、ビョークを彷彿とさせる。個人的印象では、ジャニス・ジョブリンにも似ており、ジャニス…ドリス…ビョークと歴史的リンクが完成。バイキングがアメリカ大陸の発見者という学説を音楽的に証明している(?)。
新作と発掘物のブレンド具合はいかにも金より知恵と手間を惜しまない感じで好感度倍増。オススメです。
(森山)
発売即カルトの殿堂行き決定!。
頭の中が表題通り「( )。」になってしまう。クリス・カトラーや、ヤマタカEYE、鈴木昭男といったそれこそカルトな面子が、皆心から 打ちのめされたコメントをよせているのが無理も無い凄い内容。力無い笑いが浮かんでくるが、これは冷笑ではなく、脳内麻薬の分泌が促進される為であろう驚異の脱力トランス音楽。
裏ジャケットの写真をみればこの二人ががどれだけ反対の面でオカシイかが一目で解る。
右脳と左脳の配線が切れて勝手にやった事がたまたまとても面白い結果になってしまった…。そんなCDです。刑務所や病院で流せばあちこちで鉄格子をガンガン鳴らす音が返ってくる…、有線放送で流せば犬どもが遠吠えを始める…かもしれない。
「ジョン。」→ 一部の好事家には評判の高い牛模様のツナギを着て、一人称の犬ソングをオルガンで弾き語りする女性。無垢な歌唱力と愛らしい作曲家として才能を持ち、とても音の悪いCDを何枚が出している。ダニエル・ジョンストン(この人も必聴)タイプのアール・ブリュ系アーチスト。
「宇都宮 泰。」→人呼んで「音響マッドサイエンティスト」。リコメンデット・レコードの紹介で海外評価が高いストレンジな元祖音響派グループ「アフター・ディナー」の音響面の要であった(でもこちらは良質のポップアルバム。女性ヴォーカルHacoにも大注目)。とても音響が凝り過ぎたCDを何枚が出している。
(森山)
先日購入したハンラハンの作品が良かったので、似合わないのも顧みず最新作を購入。よりキューバ音楽に入れ込んだ内容。パーカッション縦横無尽。思わずゾクリと来る生のヴォーカル。張り詰めた空気。突如訪れるカタルシス。以前読んだ作家、村上 龍の「キューバ音楽しか聴かない。」という発言をスノッブだと思ったものだが、いや、確かに大変な魅力が有る。
宝である。
(森山)
ポルトガルの新進女性シンガーだが、ファドより教会音楽と言って良い心洗われる音楽。こうまで衒いの無い声も珍しい。ベルカント唱法でさえもわざとらしく感じられてしまう。とても穏やかで、真夜中でも流せるのだが凡庸なヒーリング系が裸足で逃げ出すスケールを持った人。ステレオワンポイント録音による臨場感溢れるCD。素晴らしい。
(森山)
「RZA AS Bobby Digital In Stereo.」RZA AS BOBBY DIGITAL. GEE STREET.V2.SONY
「闇鍋ジャケ買いシリース゛」
まずはジャケットが最高。70年代の娯楽映画(たとえば「ロールスロイスに銀の銃」とか「007シリーズ」)風のイケイケのイラスト。主人公ボビー・ディジタルが中央にドカーンと来て、脇を炎上する車や美しい御婦人方、カンフー・アクション・シーンが固めている。一体なんのジャンルのCDなのだこれは。B級映画のサントラ?、そうでも有りそうでも無し。なんでもヒップホップ界の一大勢力ウータン・クランの総裁にして参謀,RZAの初ソロ・アルバムかつ初主演映画のサントラなのだそうだ。劇中彼が演じるのはRZA自身と彼が黄色いアイパッチをつけた姿に体現されるボビーディジタルという別人格。クールとホット。知性と蛮性をそれぞれ象徴するそうだ。相克する二人格がそれでも愛する人の為、音楽の為、巨悪に対して立ち上がる……。
なんだか、とても下らなそうではないか!。ダウンタウン一派が変な格好をし、エキセントリック・少年ボーイ・オールスターズや、日陰の忍者勝彦オールスターズを名乗るようなアホアホな感覚が濃厚に漂っているぞ。観てみたい。 音がダウナーで、へなへなで全然元気が出ないのも特筆物。初めて聴いた分野のCDがこれでは先が思いやられるぞ。でも一曲目、好き。ディジタルの英語つづりはこれでバッチリさ。思い出すぜ、セサミ・ストリート。
解説書で、RZAは一世一代の大風呂敷を広げている。「将来的には音楽史に自分の名を刻みたい。そう、モーツァルトの隣に写真が載るくらいに。マジだぜ。」
男として生まれたからには一度は言ってみたいセリフではないか。
(森山)
「ANOTHER ONE BITES THE DUST.」QUEEN/WYCLEF JEAN.Fe. PRAS&FREE. DREAMWORKS.DRD 22362
シングル。クイーンは好きなので。バッタもんに引っかかるくらい。
今度公開される映画「スモール・ソルジャー」の挿入歌だか主題歌だかだそうだ。
映画を観る人はその前にロバート・アルドリッチ監督の「特攻大作戦(DIRTY DOZEN).」をレンタルビデオ屋でチェックしていこう!。きっと楽しくなるよ。
(森山)
これは素敵なCD。海外帰国子女らしいこなか嬢が、ニューヨークの先鋭ジャズ・ミュージシャンと共にとてもリラックスした楽しい音楽を生み出している。矢野顕子を端正にした(矢野顕子それ自体はとても良い。あくまでも比喩です)感じ。日本語をジャズに乗せるのが巧み。その巧まざるボーカルとあいまって親しみ倍増。
ミニアルバムばっかり出ているのは彼女の意向か、会社の意向か。お手軽では有るが。
(森山)
「Terminal Pharmacy.」JIM O&rsquoROURKE.TZADIK.COMPOSER SERIES.TZ7011
これは…アヴァンギャルドです。押し出しの弱い天才、レコード会社とアーチストの板挟みになっても自分の力で何とかしてしまう苦労人、ジム・オルークが、2年の歳月をかけた大曲「CEDE」と小曲2片を含んだハード・コアな作品集。
現代音楽の著名な電子音楽家に引けを取らない峻厳な作風には圧倒される。元ネタを丹念に選別したサンプリングにトーン・クラスター、静寂から神経を逆なでするノイズ…。このバックグラウンドが有って、なおかつガスター・デル・ソルその他のポップ・フィールドで活躍する所が凄い。レディオ・ヘッドやスパークスのファンでもあるのですよ、この人。
ジョン・ゾーンのレーベルより。
(森山)
フランスのミュージックコンクリート界の代表音楽家。分類で言うとクラシックの現代音楽家なのだが、その軽快な(または軽薄な)スタンスが、彼の音楽史における立場を曖昧にしているのではないか。私が最初に聴いたのは、我が国の嘉門達夫に先駈けたフェラーリ風曲が変るシリーズ「Strathoven(ストラトヴェン)」である。ベートーベンの第5交響曲が再生中にいつの間にかストラヴィンスキーになってしまうと言うお茶目な内容であった。
このCDでは、彼の本気サイドの大曲が2曲聴ける。ピアノとテープによるミュージックコンクリート。ミニマルな展開が徐々にクレージーになり、また持ち直すという危ういバランスのスリリングな曲。でも途中にお遊びのピアノのフレーズが入ってしまっているが。それにしても誰がジャケットのデザインに「赤い下着姿の女性の前で微笑むフェラーリ先生。」などという構図を選んだのだろう。デザインはイクエ・モリか。う〜ん。
例によってジョン・ゾーンのレーベルより(凄い人です)。
(森山)
東芝EMIとヴァージンからのヒーリング系コンピレーション。98年度最新盤。おいしい所を取っているようで、シリーズ第4作ともなると、所属アーチストも重複気味となり少々編集盤としての新鮮味が欠けるのはしょうがない所。エニグマ、アディエマス、オリガ、マイケル・ナイマン、東儀秀樹が3度以上の登場で、ヌーノ、アルタン、サラ・ブライトマンが2度目の登場となる。なお過去2度以上登場し、今回もれたアーチストにはセイクリッド・スピリット、マドレデウス、クリアラ、アラ・ドス・ナモラードスらが居る。14アーチスト中初見参は6アーチスト。アイルランド系の健闘進出が目立つ。
94年編の「PRAY」、95年の「LITANY」あたりをその嚆矢とする本シリーズは同一レーベルのみでコンピレーションを編む難しさを教えてくれる点で貴重な存在と言える。ヴァージンレコードが日本に初進出した時に出した四枚組みのコンピレーションCD「ヴァージン・コレクションズ 1973-1987.」は、いまでも私のオールタイム編集盤ベスト・テンに入っている。その時の思い出が私にまだ貴社のコンピレーションを買わせているのだ。他の人に言わせれば「ジャンル分けが目茶苦茶で、全部は楽しめない。」との感想だったが。頑張れ、ヴァージン&東芝EMI。私の為に。15年分のストックと1〜3年のそれとでは冷静に考えれば後者が薄くなるのは当たり前なのだが。プロ野球機構のドラフト制も逆指名が認められてから、つまらなくなったしね(なんのこっちゃ)。
(森山)
ブラジル音楽とファンク・ヒップホップのミクスチャー・グループで、さて、これからと言う時にヴォーカルのシコ・サイエンスが交通事故死。それから1年8ヶ月、メンバーはまたシコの名を掲げ、ニュー・アルバムを完成。とはいっても純粋に残ったメンバーの曲は1枚目の半分で、後はシコ存命中のライブと2枚目のようにリミックス集となっている。大黒柱を失ったグループの苦闘はここにも有り。どうなるHIDE & SPREAD BEAVER。
個人的に聴き所は、2枚目のリミックス盤。デイビット・バーン、アート・リンゼィからゴールディーまでが参加。原曲をしっかりチェックしないと失礼な出来ばかり。これもジャケットのシオマネキの写真に誘われたジャケ買いだが、内容は拾い物。
(森山)
例.1;アル・ヤンコヴィックのバンドで手のひらをキュッ・キュッと鳴らしていたやつ。
例.2;ロッキー・エリクソンのバンドでビンの口を吹いていたやつ。
例.3;大学眼鏡社長の自主CD「指笛」。半蔵門警察署向かいの店舗で売っているらしいが恐くて入れない。
例.4; 早野凡平の野菜笛。かれは「すさまじく冒険的な〜」のホースを振り回してメロディーを奏でる芸もネタがかぶるが披露していた。
例.5;大阪名物パチパチパンチ。自分の体を打楽器に見立てている。
50くらい集まったら、一枚くらいCDが出来るのではないだろうか。ダメですか。
(森山)
キュート、ストレンジ、ポップ。異常に聴き取り易い英語の女の子ヴォーカル。母国語では無いのかな?。バックの淡々と常軌を逸する演奏も良い。全体が弱電流でシビレたような空気で統一されている。この方はどなたか。配給元POP BIZのホームページを見てもわからない。タワー・レコードのアヴァン・ポップ・コーナーでヘヴィー・ローテーション(?)されていた。
ズッキーニだか瓜だかアンディ・ウオーホール「キャンベル・スープ」風ジャケット(またはCANの「エゲ・バミヤシ」風)もポップな匿名性に溢れている。 良い。
(森山)
伝説のブラジリアン・パーカッショニスト、新ソロアルバム。
「心臓がドラムのようにリズムを刻む男。」の異名を持つ。古くは62年セルジオメンデスと「マシュ・ケ・ナダ」を録音し、フランク・シナトラを始め、各界の重鎮と競演をしてきた。ジャズ・ロック・バンド、「ウェザー・レポート」の元メンバーとしても知られる。
以上の記事はBONGOレコードのHP上で仕入れた後知恵。激しいブラジル音楽のインデックスになりそうなCDを捜してレコード屋をさ迷っていた所、銀髪、皮鞭のような皮膚、古強者風容貌のROMAOに引かれジャケ買いした。まさに名人芸。簡単には消費され尽くされない伝統と気概に満ちた一枚。ソフトな面はあくまでも甘く、激しい面は狂気の如し。 サンバって完全にトランスミュージックなんだなあ。
まだまだ私の知らない凄い音楽がいっぱい有ると、何百回目かの感動した次第。
(森山)
日本が世界に誇る前衛舞踏集団「山海塾」の同名演目用サントラ。
音だけ聴いてもこれはかなり良く、14年前の作品だが、全然古びていない。すべて生楽器(主に打楽器)で演奏された、幽玄な音楽。ヒーリング、ニューエイジのコーナーに有ったが、それもむべなるかな。日本人自身で日本的楽器(いや、ほとんどオリジナル楽器だろう)を用いてここまでやる人は今でも居ないのでは?ミニマルミュージックや、竹管楽器が御好きな方にもお薦め。ちゃんとリズムがあります。
(森山)
渋谷慶一郎のソロ・ユニット。
東京FM「東京写真物語」のオープニングテーマ「ピクチャー・オブ・ユー」と、エンディング・テーマ「end」のカップリングシングル。各バージョン違いを収録。
クラシックアレンジの方がお気に入り。ボーカルは無い方がよい。マイケル・ナイマンと坂本龍一のロマンチックな面を拡大したような楽曲は、十分ヒット・チャートを狙えます。先輩、龍一さんのように最初に浮かんだ良いメロディーを頭の中でこねくり回してワヤにしなければね(それはそれで良いのだが)。
(森山)
これは可愛い。まず、すごいのはペース・ウーがモデルもやっている9頭身美少女だと言う事。彼女を8人集めて、9当分して再構築すれば、何と8頭身美少女が9人出来る事になるのだ。うーん、プラステーション!!。
音の方は、冒頭怒涛のジャパニーズポップス3連続カバー(カヒミ・カリィ、岡本真夜、マイ・リトル・ラヴァー)で引き付け、他のオリジナル曲も素晴らしく捨て曲なし。王道歌謡曲している。特に5曲目の日本語歌詞には椅子から転がり落ちそうになった。ポンキッキーズでも流そう!。コケティッシュな囁き声から入る7曲目、6、11曲目のたたみかかける様な曲調もよい。
視覚面では、オリジナルブックレットはなんと100ページフルカラー写真集。台湾原盤ならではのサービスのよさ。これで\2.548-(税込)は安い。 買って下さい。
(森山)
こんどはキューバ音楽でも聴いてみよう。とレコード店でジャケ買い。
これはジャケットにビル・ラズウェルや、アート・リンゼィ、アントン・フィアの名が有ったからだ。これは私の勉強不足で、この方、大変な人でした。そもそもリンゼィが世に出るきっかけとなったバンド「D.N.A.」のレコードを出したレーベル「American clave」の主催者、パーカッショニスト、ヴォーカリストだったのですね。もう20年選手。このCDだって、81年の作品をセイゲン・オノがリマスターした代物であった(音、イイです)。キューバン・ミュージックの一言では全然括れないニューヨーク・ダウンタウンが産んだメタ・ミュージック。狂おしく退廃的なカルロス・ダレッシオ、マルグリット・デュラスの「インディアン・ソング」、心洗われるテオ・マセロ「ハート・オン・マイ・スリーヴ」のカバー収録。
今年行われた松山晋也によるインタビューが掲載されている。ハンハランの生涯から、音楽、ミュージシャン(ハル・ウィナー、アート・リンゼィ、アストル・ピアゾラe.t.c.)、家族(特に原初体験としての家庭の記憶と天才的才能に恵まれ過ぎて孤独な愛娘を憂える所)までを語っており、感動を覚える名内容。 (森山)
「いまのは何の音?」
BART HOPKINプロデュースによる、おもしろ楽器シリーズ第二弾。一作目は「すさまじく冒険的な音響」という邦題でヒーリング系のFORレコードから出ていた。が、内容はヒーリングにならない作品も多く、はっきり言えば、気分が悪くなる代物も。しかし、奇妙な楽器好きにはコタエラレない内容であった。ジャケットはテルミン博士夫人のクララ・ロックモアの演奏写真で、その端正な佇まいが面白くも真面目な本シリーズの全てを語っていて素晴らしかった。即購入で、なぜか輸入盤と国内盤の両方が家に有る(ばか)。
輸入盤はCDブックで、充実した写真が見て楽しく、中には音が紹介されてない楽器も有り、「惜しくも74分経ってしまいました。続きはまた今度。」的な引きが、悔しくも、次作への期待を抱かされたものである。
さて本2作目は、「音響重視派」よりも益々「楽器オブジェ派」に比重が傾いている。これは楽器の音だけ聞いても「?」がつく物が多く、ちょっと惜しい。純粋な演奏楽器としては明らかに欠陥が有る物が多いのだ(デカすぎる、高価すぎる、難しすぎる、危険、すぐ腐る、アホらしすぎるe.t.c.&hellip)。そう思うのは、添付写真の演奏シーンが余りにも面白そうだからだ(HのEla Lamblinなんてまるでサーカス!)。やたらと押し出しの強そうな人ばかり。これも戦略で、次はきっと、ビデオやDVDが出るのだろうなあ。
御大ジョン・ケージのピアノ線にスプーンやネジを挟んだプリペアードピアノはもちろん、「楽器は変な音を創り出す。コンピューターソフト。」と言うエイフェックス・ツイン、「楽器はそこいらに有るもんすべて。」というストンプがコンセプト的には特に面白い。こうなると禅問答の世界。はたして楽器とはなんぞや。
そうそう、一作目輸入盤に文章を寄せていたトム・ウェイツも参加している。G曲目のPeter Whiteheadと、L曲目のBradford Reedの演奏も良い 。 次が有るとしたら我が国の明和電機も選ばれるかな。オブジェとしての楽器の魅力は十分このシリーズに入る資格が有る(音楽の物足りなさも含めて)。
長くなったが、いろいろ言いたくなるCDです。話のネタにと、御部屋のオブジェとしても良いですよ。
(森山)
かつて「おもしろ音楽大集合/スリム・ゲイラード」名で国内発売されていた作品に未発表曲を追加したもの。色物かと思いきや、大変歌も演奏も達者な古典的な芸人でした。
生演奏付の酒場に入って、演目にも芸人にも無関心でだべっていると、途端に、「スキヤキ!」とか、「クォッカ〜・ドゥ〜ドゥルドゥ〜!」等の奇声一発、なんだなんだと思っている内に、術中に引き込まれてしまう&hellip。そんなしたたかさがありました
地口や世相を皮肉るような半減期の短い芸(それはそれで好きなのですが)ではなく、音そのもので受けを狙える人です。ほんと、飲みながら聴くのにいいですよ。
1950年代迄の録音です。中村とうよう選曲、監修盤。
(森山)
幻惑の電子音楽。タンジェリン・ドリーム、クラフトワーク、クラスターらドイツの先輩がどこか歪なのに比べ、オヴァルは随分洗練された音である。
「環境音楽が深々と積もる雪なら、オヴァルは地に突き刺さる氷柱。ダイヤモンドダストや割れ落ちる高層ビルのガラスのように 煌いている。」 凡人の私ですらこれだけ映像イメージが湧いてくるのだから、プロから見逃されるわけが無く、音楽分野では言うに及ばず、ファッション界かCM業界まで幅広く注目をあつめているそうな。美術館で流しても良いぞ。
一歩間違えば凡庸なアンビエント・ノイズなのだがCDプレーヤーの出すノイズ等をサンプリングしたリズムがこの危うい音群をきわどく音楽にまとめあげている。そこが芸。
(森山)
スコットランド系の美人歌手ジョスリン・モンゴメリーが歌う中世の讃美歌を映画作家のデイヴィット・リンチがプロデュースした作品。
リンチの音に対するセンスはとても良く、私は映画「ブルーベルベット」内でディーン・ストックウェル扮するオカマのベンが電気スタンドをマイクに見立て「眠りの精はお菓子のピエロ(ロイ・オービソンの「イン・ドリームス」)」を口パクで歌うシーンなど身震いするほど好きなのである。
同じく「イレイザー・ヘッド」における夢に出そうなノイズ歌曲「天国では全てがOK〜(伊のエレクトリック・ボディ・ミュージック・ユニット「パンコウ」、英国ミュート・レーベルの大道芸あがりの女性コーラス隊「ミランダ・セックス・ガーデン」らがカバーしている)」や、ヒットしたプロデュース作、ジュリー・クルーズのベクトルの狂ったポップスも大変良いのだが、今回はそれらとは違う、シャレ抜きで寒々とした風景が繰り広げられている。モンゴメリーの端正で硬質な歌も周囲の温度が下がるようだ。リンチお得意のノイズ・コラージュと音の空間処理も効果的かつ非凡。特に最初に歌が入るところなどゾっとする。落ちていく……。 と言うわけで、オススメ (笑)。
(森山)
同社が日本向けに新規開拓(?)したスペインはバスク地方の音楽。当地のポップスと現代の伝統音楽両方がラインアップに並んでいたが、これは後者の方。
イボン・コテロンが奏でる伝統の角笛、「アルボカ」の音色は木管楽器なのにびりびり来る。パックの音、とくにリズムには中近東、アフロテイストがほのかに感じられ、そこにケパ・フンケラの超絶アコーディオンが絡む。絶対ライブでは踊り手が付きそうな感じ。
楽器的にはチベット・ホルンやブルガリアのガイーダ程の衆目を驚かす派手さは無く、ポップさも我々の基準から言うと控えめだが、逆にその渋さが魅力か。バグパイプや、我が国の笙等、高い倍音が御好きな方には大推薦。
(森山)
映画「恋する惑星」(ウォン・カーウァイ監督)でのキュートな演技も記憶に新しいアジアの歌姫フェイ・ウォンの新作です。前作はEMI移籍第一弾ということもあって、やや期待はずれのおとなしい出来でしたが、このEMI第二弾のアルバムは期待を裏切らないすばらしい出来です。安心して買ってください。全10曲のうち4曲がフェイ・ウォン自身の作曲になってます。コクトー・ツインズ的歌唱法も完全に吸収したようです。テレサ・テン的歌唱法ももちろん健在ですから、あとはビヨーク的歌唱法もしくはメレディス・モンク的歌唱法を吸収すれば、全世界的オルタナヴォーカルファンの心を掴むでしょう。タイトルの「唱遊」(歌遊び)はフェイ・ウォンの余裕と自信の表れかもしれません。次作も本当に楽しみです。
ビヨークにしてもフェイ・ウォンにしても相変わらず年齢不詳です。とても「母親」になったとは思えません。なんせボクなんかジャケ買いだもん。「DI−DAR」(ポリドール1996年発売)以来久々の購入です。
HMVではバカ売れみたいです。台湾盤・香港盤・日本盤と揃ってますが、香港盤がボーナス・トラックが3曲入ってて2枚組でオトクです。
(船越)
先日ようやく新装開店した新宿タワーレコードに行ってみました。広く、商品棚間も広く取っている為、荷物の大きなお客同士が衝突し、あちこちで殴り合うような心配も無く安心して選定が出来るのがまず良いですね。後印象に残ったのが試聴システムの充実振りでした。1フロア当たり、CD10枚チェンジャータイプで10台以上、3-4枚チェンジャータイプに至っては20台以上も有ったのではないでしょうか。ジャケ買いはそれはそれで楽しいのですが、ワールド・ミュージックなどジャケットより中味で勝負の分野にこの「試聴コーナー」は有効で、ちょっと聴く事により、購買欲が刺激されるのです。
この日私の狙いはルミネ時代に大型店では異彩を放っていたアヴァン・ポップ、アヴァンギャルド・コーナーが果たして新装後も生き延びているかどうかに有ったのですが(なにしろ不況になると真っ先に切られるのは余り売れない分野でしょうから。)、私の予想を心地よく裏切り、なんと前売場面積費比400%増!の充実振り。しかもこのコーナーも試聴出来るのです。どこの世界にフレッドフリスやギャビン・ブライヤーズらを試聴してなおかつ買おうなどという一見客が居るのでしょうか。偉いぞタワーレコードの9階担当者。皆さんも会社のお偉いさんが正気に戻ってこのコーナーを縮小してしまわない内に行ってみよう!。
先程述べたタワーレコードの啓蒙的戦略は、聴く人を選ぶアヴァンギャルドと比較的とっつき易いアヴァンポップを並べている事でも明らかですが、本当に若い時、いろんな音に触れておくと、老後が豊かになるような気がします。気のせいも有るでしょうけど。 購入した中から拙文で紹介致します。
(森山)
「フランス産異端マイクロレーベル!」とのコメント並びにアヴァンポップコーナーに有った事から購入。そうそうたるメンバーが嬉しそうにとろけた音楽をやっている。主催者のノエル・アクションテがギタリストの為か、御大デレク・ベイリーから、自身「ステップ・アクロス・ザ・ボーダー」と言う映画を作成しているフレッド・フリス、聴くに耐えないほど素晴らしいユージン・チャドボーン(久しぶりに聴いたが、全然変っていない。脳が腐る。)、アクションテ自身、と世界各国の脱ジャンルのギター弾きが集まっている。
全体的に躁病的ユーモアが溢れており、参加者で有りながら他のアーチストの紹介から精神までをサンプラーで表現してくれている奇特なザビア・ガルシアがまた笑える。
「フランス・スカム・カルチャーの頂点」と解説に有るジャン・ルイ・コステスはこのCDで初めて知ったが、本来音楽だけの人では無いだろう。今後、ちょっと追っかけて見たい。
各アーチストのフルアルバムを聴くのが体力的にキツイ人にもこのCDなら大丈夫。解説で湯浅 学がいつもの湯浅節を披露している。ちなみにジャケットは最低です。
(森山)
メタロック・パワー・トリオ。スラップ・ハッピーが24年ぶりならこちらは18年ぶりの新作。脱領域派ギタリストのフレッド・フリス、いまや名プロデューサーの轟音ベーシスト、ビル・ラズウェルの旧メンバーに筋金入りのプログレ・リコメン系ドラマー、チャールズ・ヘイワードが新加入。
前衛ジャズ風の即興と、アンビエント・ノイズ系の曲も多いが、変拍子と基本電子楽器を轟音でかき鳴らしている作品に彼らの面目躍如。実に気持ち良さそう。好きなんですね。こういう音が。緊張感溢れる音だけどポップ。
ちなみにジャケットはデザインはイクエ・モリ、絵画はADOLF WOLFLI(アール・ブリュの代表。狂気の画家)。絵の中に彼の頭の中でしか再現不可能な天上の音楽が採譜されているが、もし生き返ってマサカーの音楽を聴いたら何と言うだろうか。
(森山)
今、インドが熱い(そりゃそうだ。逆にインドにも冬があるのだろうか&rarr無知から来る偏見です) 。映画だって、核開発だって、コンピューターソフトだって。そして、音楽も。
インド系イギリス人にしてタブラ奏者(インドの代表的打楽器)、プロデューサー/DJ、リミキサーとしてビョーク、マドンナ、坂本龍一からマッシヴ・アタック、ON−Uサウンドまで引っ張りだこの才人、シンのファースト・ソロアルバム。
幽玄なインド的感覚とロックの覚醒感を、感性と知性を、アナログとデジタルを高次元で融合させた、非常に趣味の良い懐の深さを感じさせる作品。本ソロアルバムでも坂本龍一(文章も寄せている)、ネーネーズ、クリーヴランド・アトキス、ビル・ラズウェル、らがインド音楽家達と一体になってシンの世界を構築している。
個人的にはベタだが、ネーネーズが参加した7曲目のタイトル・チューンが気に入った。エニグマや、ディープ・フォレストには彼女達をこれほど上手く使えないだろうな。
録音段階では参加予定だったイスラエルの奇才メイラ・アシェル(ミシェル・ンデゲオチェロとザップ・ママを合わせたようなマルチプレーヤー。日本でもキングから直輸入盤が発売中。)がクレジットに載っていなかったのは少々残念だった。
(森山)
台湾の先住民族アミ族の長。御年78歳。素晴らしい生の声を持っている。聴いてみて94年に世界的ヒットとなった、エニグマの「リターン・トゥ・イノセンス」の元ネタと知る。
私はオリジナルではなくヴァージンのヒーリング系コンピレーション・アルバム「Litany(VIRGIN,東芝EMI,TOCP-8735)」でしか持ってないが、クレジットには郭の「か」の字も、DIFANGの「D」の字も無いぞ。おまけに解説には「アフリカン・ヴォイス」などと書かれていてまっく杜撰極まりない扱いである。怒れ。長。あくまで元ネタはアフリカだというのであれば、証拠を聴かせて頂きたい物である。
で、本CDは、郭 英男と同族の合唱隊の音楽に今風の電子音楽がバックでつけられており、それはそれで良いのであるが、1stソロと名打つのであれば、すべて彼らに任せれば良かったのではないか。最終曲の唯一のオリジナル・ヴァージョンの素晴らしさを聴くに当たり、強く感じた。 このCDの印税が入ったら、きんさんぎんさんみたいに齢78にして余分に税金を払わされるのだろうな。彼はちゃんと農業や、音楽の公演で継続した収入源を持っているのだろうけれども。
(森山)
私の苦手分野ですが、あまりにも素晴らしいので。ラップの掛け合いがツボにはまると、まるでピグミーのポリフォニーや、リスザルの音声コミュニケーションのように、脳のゲシュタルトを直撃。まるで触れずにボールを捌いているかのような名遊撃手のグラブさばきを見るがごとし。何と言うか、凝っているのだが、生の部分 (歌唱力とが曲の良さ)が際立っている。
日本人受けする美貌に目をつけたソニーの凡庸な戦略も彼女の才能の前には良い余興。音楽史に残るでしょう(ちょっと酔ってます)。
(森山)
「nothing.」OWADA.PIANO.PIANO 508
店頭に並んだ真っ白なジャケット。まるで小学生が写生のネタに困って「一面の雪景色。」とか「目にも描けない美しさ。」と名づけて先生に怒られるパターン。でもまさしくそういうCDでした。
段ボールをたたいたリズムの上に素人女性ヴォーカルをかぶせ、チープな電気処理を加えた「マネー(from FLYNG LIZARDS.VIRGIN)」でポップス界の寵児になったデイヴィット・カニンガムが、プロデューサーとして18年ぶりに放った無垢でダダなポップグループ(本当か?)。 初期トーキングへッズやプラスティックスが御好きな方には大推薦。演奏も歌詞も単純極まりないのだが(曲名;「HELLO.」、歌詞;「HELLO.」。曲名;「1.2.3.4.」、歌詞;「1.2.3.4.」)、そのタイトさは秀逸。パンクが好きな人も聴いてみてね。
(森山)
打ち込み音楽が全盛になってから現代音楽中のミニマル・ミュージックやコンロン・ナンカロウの自動ピアノ用音楽が再注目をあびているが、本作はミニマル・ミュージックの代名詞とも言うべき表題曲を上海のオーケストラがその東洋的楽器編成で演奏したものらしい(89年録音)。
ゴタクはともかく、とても面白い作品。アヴァン・ポップ。なんか頭に良さそう。
(森山)
ヴァージョン違い4曲入りシングル。ブラジリアンテイストのVO.が入った2曲目が推薦。
(森山)
>■プロデューサー ハル・ウイナー
音楽コーナーも誰も書いてくれないので、まずはこんなことを書いてみました。
トリビュート・アルバムが流行っている昨今だけど、それより前に始めたプロデューサーがいる。ハル・ウイナー(Hal Willner)。彼のプロジェクトは思いがけないアーティストの組み合わせで成り立っている。今もどれだけ手にはいるかは分からないし、ジャンルを横断しているので、大型レコード店に行ってもどこを探せばいいのかさっぱり分からないのが難点だ。しかもいつ新譜が出るのかもわからない。摩訶不思議な人だ。
彼が製作した主な(全部は把握してないので)ものは、『アマルコルド』(フェデリコ・フェリーニのために作ったニーノ・ロータの曲をジャズ演奏)。『星空に消えた男』(クルト・ワイルというブレヒトとブロードウエイ・ミュージカルの名曲を書いた作曲家をスティング、ヴァン・ダイク・パークス、ジョン・ゾーン、ルー・リードなどが解釈している)。『眠らないで』(ディズニー音楽をトム・ウエイツ、リンゴ・スター、スザンヌ・ベガ、ロブ・ロボス、シンニード・オコーナーらが歌っている)『メディテイションズ・オン・ミンガス』、『セロニアス・モンクに捧ぐ』とトリビュート・アルバムを出している。他にも、ワーナーアニメの誰もが聞いたことのある伴奏音楽『カール・スタインバーグ・プロジェクト1.2.』として発表。
また、映画監督、ロバート・アルトマンの『ショート・カット』、『カンザス・シティー』と音楽プロデューサーを務めていると行った不思議な経歴の人だ。機会があれば、是非聞いてみて、『ディズニー』や『クルト・ワイル』あたりから入ると分かりやすい。
(角田)