陸軍中野学校
増村保造
リプレイスメント・キラー
アントワ・フークア
猟人日記
中平康
リング2
中田秀夫
リング0
鶴田法男


●陸軍中野学校
 66 増村保造(ビデオ)

 増村ワールドに入ると、石井輝男以上にアタマが変になりそうなのはボクだけなのだろうか。論理的であまりに論理的で責めていくので、登場人物のテンションが天井まで上がって降りて来れなくなって救いが無く自滅していく 、その何ともやるせなさが題材がはまれば良いのだが、いつもどんな場合も同じテンションの高さなので、こちらがへとへとになってしまう。
 第二次世界大戦のスパイ養成所となる陸軍中野学校の一期生の物語で、一応市川雷造が主役なのだが、群像劇になっていてアップも少ないのでセミドキュメンタリーの印象を受ける。サブストーリーとしてメロドラマも用意されていてそれも良くできているのだが、
加東大介の学校長の使命感に燃えた有無をも言わせない押しの強さで自殺者が出たりするが、(しかし登場人物はそれに対して疑問を持たない。逆に、どんどんはまっていく)スパイとしてたたき上げていく。その思い込みが全員不幸な方向に運んでいくのだが、そこら辺、何の救いもない。真面目な監督なのだなあとやっぱり思ってしまう。石井隆もこういう追い込みかたするけど、まだ情があるね。こっちは、非情が積み重なって物語ができるからなあ。どこに誰に感情移入したらいいか分からない。
 (角田)


●リプレイスメント・キラー
 THE REPLACEMENT KILLERS 98アントワ・フークア (新宿ジョイシネマ3)

 製作総指揮=ジョン・ウー、出演チョウ・ユンファ、ミラ・ソルヴィーノ………。
ついに聖林に来た男。今、世界一ガンファイトが似合う男(かつては宍戸錠だったが)。クールさと甘さが同居できるスターと言う言葉が出る男、チョウ・ユンファ。彼の世界進出第一作にしてはなかなか良い環境を与えられていて、気持ちいい大型香港アクションを観ている感じがあって痛快だった。
 組織に家族を人質に取られて殺し屋をせざるを得ないチョウ・ユンファは、オープニング・クレジット一曲数分間で既に華麗なガンプレイを見せてくれる。(勿論スローモーション!しかもルガーの二丁拳銃)。しかし、組織のボスの息子を殺した刑事の息子を殺す命令にどうしても引き金を引けない彼は、組織を捨て、家族を守るために中国に戻る決心をする。そこに出てくるのが、ロスの古い50年代の木造のビルの一室で一人仕事をするミラが扮する偽造パスポート屋。やむを得ずの相棒が善人じゃないところがいいね。やってくる刺客のショットガンでボロボロにされた事務所の中で戦う二人のアクションの決まり具合、シビレます。 何しろサービス満点のアクションで洗車場での銃撃戦など工夫がいっぱい。盛りだくさん。スタッフは、絶対に香港映画フリークと見たね。
 あと、ジョン・ウー。彼の影ながらの力があったと見た。早く、チョウ・ユンファ主演ものを撮ってくれ。『ミッションインポシブル2』なんか作ってる場合じゃないぞ。ついでにスタンリー・キューブリックもいつまでも撮り直しをしているんじゃない。トム・クルーズのスケジュールが空かないじゃないか。新作『EYES WIDE SHUT』も楽しみだけどね。
 寺院や坊さんなどの東洋の描写が甘いけど、そこら辺は目をつぶっても格好良さの追求はかなり頑張ってます。充分堪能できます。チョウ・ユンファのハリウッド進出をこの目で確かめよう。
 (角田)
 

●猟人日記
 64 中平康(ユーロスペース)

 黒澤、溝口、小津、成瀬と来てようやっと、中平康の時代がやってきた。誰よりも先鋭で洒脱でユーモアがあり、スピーディーでカラッとした絶対に当時のキネマ旬報のベストテンには入らなかった エンターテインメントの中に隠された実験精神、今も観る者を圧倒
する映像のシャープさ
。一言で言えば上手すぎるのだ。
 江戸川乱歩賞の映画化だが、昭和30年代には刺激的なほど性的表現、作者の戸川昌子や、銀巴里で唄う丸山明宏(三輪明宏)を登場させる茶目っ気。前半は、中谷昇の女漁りと殺人事件がパズルのように散りばめられて、罠にかかっていく様子が描かれているのだが、後半、北村和夫の弁護士がミステリーの謎をひとつひとつ解決していく本格推理ものになっていく。また弁護士事務所で働く助手の十朱幸代が溌剌としていて良い。中平映画は美女を強く描くのが上手い。男勝りの活躍を見せることで映画が現代性を帯びてくる。やはり早すぎたのだろうか?
 中平康の悲劇は監督至上主義の松竹大船で助監督を経験していて、日活に移って、監督を始めて裕次郎や旭を売り出したが、それが日活をスター中心システムの会社にしてしまい、その中で監督至上主義を通そうとして理解者を得られなかった ことだろう。
 90年代の監督にも描けない作品を作ってしまった男はこれからまだまだ正当な評価を受けるはずだ。
 (角田)


●リング2
 99 中田秀夫(新宿ビレッジ1)

 プロデューサー主導型と監督主導型がぶつかって映画が、滅茶苦茶なものになるのは良くある話だが、この場合は役割分担がはっきりして、意見の一致が無くてどっちつかずになったのではないだろうか。プロデュースの一瀬隆重は『帝都大戦』の超能力、科学SFモノを守備範囲にしているし、フジテレビの石原隆は深田恭子を売り出すことしかアタマに無かったんじゃないか。監督の前に 脚本家がバーストを起こしてしまい、話が不条理の世界に迷い込んでしまったようにみえた。
 中谷が何が動機で何を考えて行動しているのか分からず目的が見えないのだ。それが物語の魅力を半減している。
  前作では上手く使えた母性が、今回は機能できず松嶋菜々子は邪魔者扱いにしかなっていない。そう、そもそも『らせん』という作品が無かったことにして始まったいるから無理があるんじゃないか。ズルイよな。
  前作では「呪い」はあるのか、あるとしたらどういう形を取って現れるのかがポイントになっていたが、今回は山村貞子の「呪い」は存在して、誰にでも分かりやすく見えて、結局、 「呪い」対「超能力」+「科学」のバトルものになってしまった。
  演出は頑張って、丁寧に撮っているのだが、枷が重すぎたようだ。独自な部分がほとんど出すことが出来なかったんじゃないだろうか。制約とお約束が多すぎる。第三弾も撮るらしいが、もうサム・ライミ並みに開き直るかしないと、もう「呪い」の怖さの効力は出ないと思う。
  役者として、深田恭子なんかに肩入れしても所詮下手だから力入れて売り出さない方がいいんじゃないの、コケルよ。柳ユーレイは良い役者になったな。これ以後役者として幅が広がって、邦画の中でポジションを作るんじゃないかな。
(角田)


●リング0 バースデー 
   鶴田法男(ビデオ)

 わたし的に仲間由紀恵がブームなのだが、そのきっかけになったのはこの映画であることは確かだ。鶴田監督の演出力はまだまだ本数撮っていくうちに上手くなる人と確信している。お化け映画のちょっとした部分をこわがらせるツボをついている。ストーリー的には田中好子が出ている分、話が拡散しているので、もっと密室な人間関係になれば良かったと思う。細かいところはあるのだけど、できればもうひとりいる部分を楳図かずおの「神の右手、悪魔の左手」の最終話のようにすれば、おもしろく出来たのではないか。
もうちょっと時間があれば、『レベッカ』のようになれたのだけどなあ。
 あと、仲間由紀恵はバラエティーに出たり、唄をうたったりしないで、映画出演に集中すべきだと思う。
(角田)




Make your own free website on Tripod.com