燃えよピンポン
三原光尋
燃える戦場
ロバート・アルドリッチ


●燃えよピンポン
 97 三原光尋 (シアタートップス)

 松梨智子の作品を観てから「いかん、もっと幅広く観ないと」と思い駆けつけたが、インディーズの映画というより、懐かし自主映画の世界を垣間みたそんな由緒正しい?作品だった。
  きちんと、16ミリで撮って、それなりにロケセット(と言ってもそれほどないが)充実していて力が入っていることがよく分かる。ストーリーは大阪のドリンク剤の老舗「浪速ドリンク」(昭和30年代の「スチャラカ社員」のような会社)で働くOLが、ライバル会社の「天満ボトラーズ」の宿命のライバルOLとの男をめぐって社運をかけたピンポン大会に出場するまでを描いているが、実家が中国料理屋のヒロインに対していつも優雅なライバル(登場の時定番の音楽がかかる)があまり優雅に見えないと言うか、なんでOLが優雅なんだ?と疑問があるけど、それはさておき撮影は生真面目にカット割りをして、役者の演技で笑いを取ろうとしている。フィルムだから、その辺がアドリブであっても上手くはじけなてないのが残念。まあ、そんなにアドリブはないと思うのだが。
  ピンポンとういうネタも上手く転がってはいないと思うのだが、監督には「水泳」「ママさんバレー」そして「ピンポン」というスポ根三部作がありそのひとつに入るらしいが。社会人卓球選手権で勝ったらハワイに慰安旅行だと社長に約束を取り付けると、突然ミュージカルになって陽気なOL生活が歌われるのが笑える。
  その先は自主映画パターンの特訓、達人探し、免許皆伝とブルース・リーの世界が入って来て最後まで突っ走る。ちょっとまだこういうのやってたるの?と言う気分になってしまった。
  コテコテな割には身体を張ったギャグが少なかったなあと思った。小劇場の劇団員とは言え、そんなに過激なことは要求できないのだろうか。それとも、役者が映画の動きが分かってなかったのだろうか。役者に多く頼りすぎているんじゃないかな。主役以外の動きが結構、おざなりなところが目立った。
(角田)


●燃える戦場
  Too Late the Hero 69  ロバート・アルドリッチ (ビデオ)

 1989年版のキネマ旬報社刊、「世界映画監督/スタッフ全集」では、なぜかアルドリッチの項から漏れていた。内容的に失敗作なのかと思いきや、どうしてどうして。
 まず、米、日、英の三国旗を使った単純だが印象的なオープニング。いつも通り音楽は小津作品にも通じる(?)明るく、勇壮な正統派。これがドギつく凄惨な題材を多く扱うアルドリッチ作品を暗くしない秘訣其の一。
 アメリカ人監督にも関わらず、まだ余力の有った頃の日本軍と英国軍の戦いを題材に選んだのも冒険的。ペキンパーが最初の近代戦争物「戦争のはらわた」に独ソ戦を選んだ勇断だか暴挙を思い出させる。
 話は最初、全然燃えない。舞台の太平洋諸島にはバカンス気分でやってきた米軍中尉(クリフ・ロバートソン)が主役。登場シーンではダイインと見紛う様相で日光浴。日本軍と英国軍が膠着状態になっている島に行き、特技たる日本語を駆使して陽動作戦に参加せよとの新しい任務に不平タラタラ。
 同じく島のイギリス兵は労働者階級出身の徴兵組や、日本軍にこっぴどくやられた敗残兵(マイケル・ケイン)の寄せ集め、中流階級以上らしい中尉(デンホルム・エリオット)が尻を叩くも士気が上がろうはずも無い、仮病、泥棒は日常茶飯事の連中。 最初からやる気の無い雰囲気で出発した一個小隊が、姿を見せない日本兵によって、一人、また一人と死んで行く。途中で無線機も壊れるし、良い気味である。 せっかく手に入れた偵察情報も仲間割れで危うし。果たして基地まで持って帰れるのであろうか。ここらへんから俄然、人間関係が変な燃え方をしてくる。その葛藤振りもアルドリッチは容赦無く全て見せます。役者の名は知らないが、一番卑怯な兵隊「キャンベル」が、あまりにも姑息で悪いので、かえってコメディーリリーフ的になるのは、「攻撃」のエディ・アルバートと似ている。
 で、一番格好が良いのが、なんと追跡グループの日本軍指揮官を演じる高倉健。やっている事は充分卑怯なのだが、その品の良い佇まいによって、「知略」という美辞麗句が似合ってしまう凛々しい青年将校振り。どうか最後まで格好良く終わります様にと願う日本人ファンの気持ちは果たして通じるのでしょうか。
 日本兵と英国兵の体格さを気にならなくする工夫(ジャングルの茂みを上手く使って、空間的に隔てて撮影する、白兵戦は極力避け、神経戦を題材にする)など、脚本の上手さは幾等でも挙げられるのだが、脆弱にはならず、活劇的な面白さも充分あるのだ。
最初と最後に挿入される英国軍基地と日本軍が支配するジャングルの境界線に横たわる数百メートルの平地を使用した全力疾走シーンが素晴らしい。彼の映画の走るシーンはなんでこんなにスリリングなのだろう。 アメフトを題材にした「ロンゲスト・ヤード」はもちろん、「特攻大作戦」の手榴弾を持ったジム・ブラウン、「攻撃」でジャック・パランス曹長と彼の小隊が危険地帯の丘を走り降りるシーン.e.t.c.
 例に依って自然だが絶対単純な切り換えしをしない、独特なカメラワークもいっぱい出てます。
 それにしてもこの映画、米英でヒットしたんですかね。
 (森山)




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