Mr.ジレンマン色情狂い 小沼勝
ミニスカ特捜隊 L.E.G.S.
中野貴雄
ミル・マスカラス「愛と宿命のルチャ」
フェルナンド・ドゥラン・ロハス


●Mr.ジレンマン 色情狂い
 79 小沼勝(ビデオ)

 お昼のTV 「笑っている場合ですよ」で「日刊乾電池ニュース」をやっていた頃の東京乾電池のメンバーが出ている笑えない日活コメディーポルノ路線の一本。神代辰巳の『壇ノ浦夜枕合戦』に風間杜夫が出ているのとは、ちと違う。ほとんど捨て身のやけくそな感じがいい加減ないい味を出している。
 今は一応まっとうな役者の振りをしている柄本明が家庭では粗大ごみ扱い、会社ではダメ課長補佐として、うだつの上がらない生活をしているのだが、なぜかある日、専務室にあった南方から持ってきた部族のマスクとテーブルクロスをマント代わりに纏うと、Mr.
ジレンマンとして精力絶倫男として変身して悪徳専務(高田純次)や社長(綾田俊樹)らをやっつける。当時もそんなに笑えたと思わないが、今も失笑してしまう脱力作品。 往事を思い出したい人にはお薦め。ちなみに脚本は荒井晴彦。
 (角田)


●ミニスカ特捜隊 L.E.G.S.
 98 中野貴雄 (ビデオ)

 いま、日本で本当に莫迦莫迦しく、オモシロイ映画というのはどこかに生息しているのか。映画にはエンターテインメントという言葉が存在するがそれに相当する日本語は無い。敢えて言うなら、かの作家・翻訳家の吉田健一が使ったとされる“こころづくし”にトドメを刺すのではないだろうか。
 59分、VTR、ミニスカポリスのパクリものと全ての悪条件が揃っている中、監督、スタッフ、キャストはまさに“こころづくし”を演出してくれた。こういう作品しか後年カルトとして生き残れないんだよね。面白くするために知恵を絞ること。そこに如何に風俗的、時事的なことを詰め込めるか、勝負の一つはそこにかかっている。最近のテレビドラマが詰まらなくなってきているのは、脚本家至上主義でアタマんなかで構築した世界をロケ現場で再現しているだけの公式を解くだけのノルマ作品となっているからだ。かつての久世ドラマをはじめとする元気の良かった頃の勢いは、疑似ドキュメンタリー『雷波少年』などに移ってしまっている。
 そんななか孤独に戦い続けている中野監督(単に趣味だろうという考えもあるが)。全てロケで、それも6箇所くらいで雨が降ろうが、全てを撮りきり、アクションシーン満載、爆破合成あり、しょーもないギャグ満載(『ぎるがめっしゅナイト』よりはオモシロイ)。小室○哉もどきプロデューサーが出てきたり、改造車ギリギリの真っ赤なパトカー(しかもアメ車)など、ほとんど狂気の沙汰とは思えない。
 しかし、ここまでやる本気さが楽しませてくれる作品となっている。紋切り調の羅列、ご都合主義の大逆襲=すかした映画は要らない、ってとこでなんでもありありそれが映画の「心意気」“こころづくし”だ
 (角田)


●ミル・マスカラス「愛と宿命のルチャ」
 LA VERDAD DE LA LUCHA  88 フェルナンド・ドゥラン・ロハス  (BOX東中野)

 映画としては駄目だが、ルチャドールの心意気としてはよし。
 マスカラスとドスカラスが悪人と戦う『月光仮面』的展開を予想していたのだが、脚本はメキシコ・マット界の抱える問題(貧困、暴力、教育水準の低さ、プロモーターによるレスラーからの搾取、etc)を提起する硬派な内容。関係者各位への気遣いを見せつつ淡々と演出していた。
 リングサイドからスローモーション多用で撮られたルチャのシーンは強烈な催眠効果を持つ。華やかなはずのパーティーシーンにも場末の物悲しさが漂う。
 『ムトゥ、踊るマハラジャ』なみの内容を期待したらしくじるが、プロレス好きの人は観て損は無し。有名なレスラーが多数実名で、出演。演技はつたないが、堂々たる体格。特に、マスカラスとドスカラスの美丈夫振りは際立っていた。
 (森山)




Make your own free website on Tripod.com