ヴァンパイア  最後の聖戦
ジョン・カーペンター
ヴィドック
ピトフ
ウイナー
アレックス・コックス
ウエディングシンガー
フランク・コラチ
浮雲 (→めし へ)
成瀬巳喜男
うずまき
higchinsky
熟れた果実
ドン・ルース


●ヴァンパイア  最後の聖戦
  JOHN CARPENTER'S THE VAMPIRES 98 ジョン・カーペンター(ビデオ)

 ジョン・カーペンターを真面目に語るほどバカバカしいことはないと思うが、確実にこの手のふざけた映画を嬉々として作るのは、鈴木則文か、カーペンターくらいなものだろう。バチカンの法王の命を受けてヴァンパイア狩りをするプロフェッショナル集団、といっても粗野でむくつけき男の集団なんだが、冒頭で昼間、ヴァンパイアの巣を襲撃して全滅させる描写は期待させてくれるんだけど、いつものカーペンター映画のように尻つぼみにどんどんなっていくセコさ。そこが微笑ましいと言えばそうなんだけどね。
 ただ、今となってはちょっと時代からずれちゃってというか、今の若い作家だったらもっとケレン味を押し出してエググ描くのにやっぱカーペンターは品が良いというか、80年代で終わっちゃった人だなあと感慨深い。
 どっかで、ハワード・ホークス的、古典ハリウッド式の人物造型をするんだよね、最初嫌な奴だったけど、最後には協力しあうというボク自体は嫌いじゃないけど、それ自体古く感じてしまうのはなんだろう。ひねくれたのか、醒めてそういう映画の構造を信用でき
なくなったのか、どちらも不幸なことと思うが、大型エンターテインメント作品じゃなく、古典的プログラムピクチャー的物語展開に未来はあるのだろうか。観終わったあと、ニコニコ出来るような作品という事ね。
(角田)


●ヴィドック
 VIDOCQ01  ピトフ (Tジョイ 大泉)

 ソニーの開発したHD24Pカメラはホントのところ使いものになるのだろうか。満足できる画質という話は聞いたことが無 い。ソニーも本気なら、 ヴィトリオ・ストラーロあたりに札束で叩いて「こいつは使える」と言わせないと、いつまでたっ てもハリウッドじゃ使われないだろう。
 本作ではCM出身の監督が色をいじりすぎて、まともな画がひとつもないので判断に悩む。白がきれいに出なかった り、速い動きについていけずに残像が出たり、肌のキメが見えすぎたりする欠点はヴィデオだなあと思うが、DLPだと良 いのかもしれない。これについては『スターウォーズ・エピソード2』待ちだな。ただルーカスはいまひとつ信用できんが。
 レ・ミゼラブルの原点になった、悪党であり探偵でもあるヴィドックの話を現代風にアレンジ。何でも演じるド・パルデュ ー!あんたは偉い。美術のマイク・キャロは冴えていて本領発揮。『デリカテッセン』、『ロスト・チャイルド』が好きな人に はお薦め。監督が生かしきれていない部分はあるけれどね。 江戸川乱歩が入っているストーリー世界はなかなか楽 しめる。CMやプロモ的な解釈による中世ヨーロッパな世界観です。清潔すぎたり、意外とエログロ部分が少ないのが不 満なのだけど、頑張っています。フランスでも変な奴がまた現れたということで注目したいです。やはりCGの使い方も、 日本やアメリカと違う色遣いやアニメーションの動きは、デジタル分野の人には参考になるのではないでしょうか。
(角田)

●ウイナー
  the winner 96 アレックス・コックス(ビデオ)

 アメリカで映画を撮り続ける、偏屈なイギリス人アレックス・コックス。彼の世界に入り込むと時間が止まりどこまでも果てしない出口のない世界に閉じこめられる、そんな気分にさせられる。
 ラスベガスのカジノで勝ち続ける男と、その男につきまとう得体の知れない男女。男が惚れた歌手(へたくそ)はレベッカ・デ・モーネで、本当は自分の借金を返したいだけだったりする。物凄く地味なカジノでラスベガスの派手な外景もほんのちょっとしか出てこ
ない、この偏屈ぶり。どこの話なのかほど地味な仕上がりだ。
 話が進むにつれてますます哲学的な運命論の披露とともにカジノギャングの準備が描かれたりしてめまぐるしい。殺人が起きても犯人は良く分からない。監督の興味はそんな事よりもラスベガスを牛耳るもっと大きな何かがあるのか、砂漠の蜃気楼なのか、そこら辺
を哲学しちゃったみたいな印象がある。アレックス・コックスのファンはおさえておいて欲しい一本か。
(角田)


●ウエディングシンガー
  WEDDING SINGER 98 フランク・コラチ(新宿シネカリテ2)

 小品のロマンティック・コメディーですが劇場で観た方が気分が良いのでは、と思わせるナイスな出来。ある種のお伽噺、イノセントな人間達が醸し出すドラマ。
 自分の結婚式をすっぽかされたウエディング・シンガー(結婚式のバックで唄うバンド)と式場で働く結婚を控えたウエイトレスの距離がどんどん近づく、結婚コメディーと言っても良いだろう。
 80年代音楽のオンパレードで懐かしかったなあ。見終わると得した感じになる楽しい気分になる。というか単純にマル貧対マル金の『金魂巻』の世界(古いね)、アイディア勝ちの映画じゃないかな。たぶんノスタルジー系の映画なんだろうね。80年代!を回顧して……。今じゃ成立しないのかなあ、んなことないと思うけど 80年代だからいいんじゃないの。ちょっと背伸びした恥ずかしい部分が許されるってことなのかな。
(角田)


●うずまき 
  00 higchinsky(新宿東映)

 貶すのは簡単、でもどこかで「そんな簡単に片付けない方が良いぞ」という囁きも。なあんで全てをパクリで片付けようとするのかよく分からない。大林映画からたくさん持ってきているというか、映像だけの人ってなんですぐ大林なのかなあ。まあわかりやすいからなんだろうけどさ。ビジュアルショック的唐突な演出も、まあやるのは勝手だけど、金取って見せるなよと、軽く舌打ちしたくなるし、映像が凝って豊かな風に見えるけど、実は映像の表現力の1/100も使いこなせてないことに気付いていない勘違いに気の毒にとも思いつつ、そういえばNHK-BSで深夜やってた『アタラント号』は、素晴らしかったなあ1930年代に映像で映画の感情を豊かに描ききってたんだなあともぼんやりと考えてもいた。
 まあ、ビデオで撮影してキネコ起こししたらしいけど、あまり分からなかったし、ビデオ合成だったので、合成部分もきれいに出来てたんで良いかと簡単に許してしまったりして、これからこういうスタイルもどんどん増えて来るんだろうなとも思い、やだなあフィルターで色調を作り出すなんて照明がいらねえじゃないか、そういえばこの作品の照明って滅茶苦茶フラットだったなあ、奥行きがなくて、単純に広角レンズで歪ましてごまかしてるだけじゃんと気付いたりもするわけ。なんかパクるんだったらもっと志の高いパクリをして欲しい。どうせ類似品が増えていくことは確かだから。どこまで借り物で済ます訳?あ、ついでに言っておくとビジュアル的うずまきイメージの面白いところは、全部原作の中にあったよ。
(角田)


●熟れた果実
  The opossite of sex 97 ドン・ルース(ビデオ)

 某誌で、見逃すと損をする拾いもの作品とあったので借りてみたが、よほど斜に構えた映画ヲタクがウフフと喜んでいる映画に見える。というよりも、違う視点からしか観れなかった。
 それを説明するためにストーリー設定を書くと、16歳の女子高校生(クリスチーナ・リッチ)は、義父が死んだのを機に家出をして、義理の兄の所へ行く。その兄は高校教師でゲイ。一緒に暮らしていた男友達はエイズでこの世を去り、今は同じ高校教師の男友達
の姉と同じ家に暮らしている。そこに新しい兄の恋人の男が現れる。女子高生は、その恋人を誘惑する。やがて、妊娠が発覚してふたりは現金を盗んで逃走。義理の兄も、恋人の元情夫の男子高校生(自分の教え子)に性的虐待を受けたと虚偽の訴えを受けて失職。結
局、女子高生と兄の恋人を探すことになる。とアタマが痛くなるような倒錯した世界の物語なのだが、なかなか皮肉が効いていて観ていて飽きない。
 ただ気になるのが、あまりにも男達(ゲイ)が全員良い奴ばかりで、女は嫌な奴に描かれている。これは、実はそんな奇をてらったものではなく、単なるゲイ讃歌の映画ではないかと思う。全体的なひねくれ方、そうでありながらハッピーエンドに一応終わるところなんて、非常にアメリカ映画として不健全な終わり方だ。これが面白いと思う人は、その気があるのではないでしょうか?
 ハリウッド大作映画でも、観てないから何とも言えないけどバットマンシリーズの監督、ジョエル・シューマッカーの映画とかもそういう男が全面に出てくるような映画なのかねえ。拾いもの映画に注意(あなたの性癖がバレてしまうかも)。
(角田)







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