■雑誌はどこを読むか



●サイゾー

 インフォバーン:\690

 30代男を対象にした雑誌が4月に数冊創刊されたが、どれも手に取る気さえしない。まあ内容・コンセプトにしても、物欲の刺激か、隠者の生活(お金のある人に限る)の世界を実現できるような戯言が書いてあるんだろうと思うし、そんなこと誰も信じていないから読まないんじゃないだろうか。上品ぶってもエロがないと部数は伸びないし、実用的扇情的でなければ継続して買わない。惰性では買わないと言ったところが本当のところじゃないの?俗に3号雑誌と呼ばれる、4、5、6月号で廃刊という幻の雑誌になり可能性は多々ある。

 「サイゾー」は、元「WIRED JAPAN」の編集長が立ち上げた雑誌だが、執筆陣は「WIRED」を引きずっているし、コンセプトも似ている。かと言ってデジタル関係の情報が多いかというとそんな事はなく、脈絡のない記事がダラダラと書かれていて、それはそれでアングラペーパーのようで楽しい。“勝手に会社案内 アムウェイの巻”とか“世田谷文化秘宝館”とか小ネタは、連載が続けば面白いのだが、特集が“テレビばっか観やがって!”じゃ、今更という感じでちょっと引いてしまう。そこに新しい情報も切り口も見えない。飛ばし記事でもないし、ビジュアル重視でもないので、つまらない。小ネタならwebでも見ていた方が面白いので、今後の編集方針が問われる(デジタル情報誌なのかな?一応)。まあ、立ち読みでも目を通すくらいなら面白いとは思います。ネタ切れが心配だ。

(角田)


●カルチャー・ランキング99 今年ハマった私のいち押し

 リテレール編集部・編 メタローグ:\980

   ホームページを作って喜んでいるようなヒトは多かれ少なかれ「サブ・カル」の総目次みたいなものを作ってみたい、と考えるのが普通だ。このホームページも映画・マンガ・音楽etc.とかなり多方面に書いてはいるが、館主以外の執筆陣の更新ペースが遅く(ボクも含めて)、どうもボリュームに欠ける。

 さて、ごのカルチャーランキング99だが、基本的には単なる1998年の「ランキングもの」なのだが、その対象ジャンルが映画・芝居・音楽・アート・マンガ・建築・スポーツ・TV・ワイン・ゲーム・ニュースetc.とまさに「サブ・カルの総目次」でヤラレタという感じ。

執筆陣も総勢50人のクセモノライターたちで、読み物としてもかなり充実している。また巻末には館主のお嫌いな宮台真司とそのパートナー速水由紀子のエラソーな対談もついている。

湯浅学の音楽ベスト10、ミュージック・マガジン1月号での同氏のベスト・アルバムと見比べるのも面白いかも。重複も少ないし(笑)。

(船越)


●ジャリカル秘宝 冒険!おもちゃ箱!!

   洋泉社:\1,000

 「ジャリンコ」+「カルチャー」=“ジャリカル”。「何でも鑑定団」じゃ一銭の値打ちもないゴミのようなオモチャ、遊び。懐かしい…、と言うには精神年齢が上がっていない性もない奴等に送る、駄菓子屋の店先のような内容。ほとんどが記憶と押入の奥から引っぱり出した現物を見て書いたとしか思えん。イラストと写真が多くてとっても読みやすい。我々の過去なんてこんなものよ。

  (角田)


●映画秘宝 映画懐かし地獄70’s

   洋泉社:\1,400

 このホームページ・サイトを見に来るような人に今更紹介しても仕方がないけどさあ、面白いから読めとしか良いようがないよ。編集陣はかなり本気で書いているので、これが今日本で一番面白い雑誌(ムック)であることは断言できています。

 これの元となった、精神的アニキは『映画宝庫』。ってのが今から15年くらい前、もっと前かなあありました。ちなみに芳賀書店出版。マニアックとは違う啓蒙的な内容で的を絞った企画が好感が持てました。『洋画好きの邦画特集』なんていうのは未だに新鮮だと思うけど。まだ矢口書店(神保町の映画専門の古本屋)に行けば手には入るんじゃないのかな。あの時代、情報が少ないのに、社会現象とかこれがアメリカ式ライフスタイルだという切り口の情報でまわりを好き勝手に埋めて良くやってます。

 でもさ、今30代の読む雑誌って無いよね。『SPA』もちょっと気恥ずかしいし、『ダカーポ』とか読んでる奴は後ろから首絞めたくなるしね。ちょっと前には『宝島30』ってのがあったんだけどな。それ以来狂った雑誌は『TV Bros.』くらいじゃないのってコラムがオモロイくらいなモンだ。 皆さんは、何の雑誌読んでるのかな。

(角田)


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