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野球

強くて淋しい男たち
永沢光雄:筑摩書房:\1,800
 宇野勝、高橋慶彦、金村義光、と聞いてにんまりとする人以外は読まなくて結構。山際淳司や沢木耕太郎のようなナルシズム俺系スポーツノンフィクションが好きな人も関係ない。「AV女優」の作者と聞いてピンと来る人だけ読んで下さい。
最 初に挙げた三人は、80年代に活躍したプロ野球選手です。彼らはタイトルを取ったりもしたけど、いまもスターやスポーツ新聞をにぎわせたり、記録に残るような選手じゃない。ただ記憶に残る男たちなのだ。
 最近「プロ野球珍プレー」にゲストで呼ばれた宇野は、今もなんでこんなプレーでみんなが笑うのか納得出来ず、自分がなぜここにいるのかも分からないようで、終始不機嫌だった。
 そうやって自分を曲げずにあるいは曲げられずに来た男たちこそが、ヒーローじゃないだろうか。そんな選手たちをどきどきしながら声援していた。ひいきにしていた。引退したら急にテレビ用に愛想よく自分を作り替える選手を何人も見てきた。
 そうじゃない魅力を見たいがために声援を送るのだが、反骨ではなく、天才でもなく、タイトル通り「強くて淋しい男たち」がここにいる。野球だけじゃなく他のスポーツ選手も取り上げられているが視線は変わらない。



三原脩の昭和三十五年
富永俊治:洋泉社:\1700
 西鉄を追われ、万年最下位球団、大洋ホエールズの監督に就任した三原脩。まさかの最下位から優勝へ。そこにはT超二流Uの男たちを使った監督術があった。ドラマの無いところにドラマを作る。三原マジックの一端が見える。内容は地味で読み物としてはキツイんだけどね。


日出づる国の奴隷野球 憎まれた代理人団野村の闘い
ロバート・ホワイティング:文芸春秋:\1714
 日本プロ野球は、大リーグの二軍となるのか。読売グループ・長嶋終身監督のためだけにある、脳味噌停止の相撲協会顔負けの圧力団体となっている、この状況。選手会も機能を果たせない。日本社会の象徴と行ってもいい。プロ野球を応援するの悲しくなってくる。そこに団野村という最高の悪役が登場した。
 いままで勘違いしていたが、団はサッチーとアメリカ人の夫との間に出来た子どもで、夫は離婚後、アメリカに戻り自殺した。団も一時期ヤクルトに在籍していたと読んでまたまたびっくり。しかし野球が好きで、マイナーリーグのオーナーになるが破産。その後、代理人として復帰。別に野球選手だけがクライアントじゃ無いという。
 団がいたために、野茂も、伊良部も(彼も正式には認めないが、父はアメリカ人ということだ)、大リーグに行けた。その他の選手を見ていると、日本に戻ったときのことをやたら考えている様な気がする。やたらテレビに出たりね。
 先のふたりはマスコミを敵に回してまで団を守った。それだけ信頼があったのだろう。団も彼らの野球に対する情熱を理解できたのだろう。団は、広島のドミニカ・カープ・アカデミー出身の選手も助けている。安い金でこき使う契約を放棄させている。企業と個人の間にある日本的風土を考えてしまう。ちなみに、イチローのポスティング・システムのことを、作者はT現代の奴隷競市Uと呼んでいる。そこには選手の意志はなく、セリに掛けられるだけだからだ。